ゴジカラ村 


(2001/ 5/ 2)
 ゴジカラ村ケアハウスが完成したので見てきた。内覧会が3月にあったが参加できず、入居も始まった5月の連休中におじゃましたが、吉田氏自ら案内をしていただき、さらにはお昼までご一緒して色々な話を伺った。

 補助金を受けた施設ということで取りあえず完成しているが、まだまだここかしこと中途半端・未完成な部分が残る。これがゴジカラ流かもしれない。私達が行ったときにはちょうど入り口のところの駐車スペースにコンクリート舗装の工事をしていた。たまたま指示をしていた設計者・酒井氏にデイサービスセンター浴室などを案内してもらう。木で包まれた内装は気持ちよさそう。

デイサービスセンター浴室

ケアハウス内廊下

エントランス/廊下交流スペース

 ケアハウスは全49室。1室を吉田氏の母親のために確保してあったとのことで、その部屋に案内してもらう。やはり木の内装がシンプル・質素だが気持ちいい。それ以外は全て満室になったとのこと。家賃が一括納入の場合約200万円。月々は収入に応じ、約115,000円〜57,000円で、食事も含め全て賄うことができるというのは安いのではないか。吉田氏に話を聞いても、基本的に収益があがる事業というより公益的事業。修繕等が必要になった場合、どうやって処理するのか聞いてもわからないとの答え。いや、DIYで手を入れていくことを楽しみたいようだ。

 吉田氏が一番楽しんで話をしてくれたのが食堂。一般的な給食業者を使わず、名古屋でレストランを営業している業者を入れたところ、食事は旨いし、夜間遅くまで融通は利くし、とにかくよかったことばかり。ということで私達もお昼をいただいて帰ったが、確かにこれで500円は安い、旨い。ただし、外部の人は要予約なので注意。
 お昼までのひととき、廊下のたまり場で興じるグループがあり、いかにも頑固そうなおじいさんあり。なかにはここから通勤している人もいるそうで、確かにケアハウスであればそうした生活も可能。隣接する幼稚園との交流はまだこれからとのことだが、隣り合わせ故にかえって慎重にしている様子。そして豊かな自然に囲まれている。高齢期の住まい方として、これからはこういうかたちもあるということが実感できる。

(2000/ 6/21)
 名古屋の東隣の長久手町は、ベッドタウンとして急成長し、今また愛知万博の候補地として注目を集めている。そんな町の南はずれに、この森はある。たいようの杜。この森の中には、特別養護老人ホームがあり、幼稚園があり、介護福祉専門学校があり、そして託児所、デイサービス、ショートステイ、訪問看護ステーション等々があり、そして今、ケアハウスが建設されている。これらを総称してゴジカラ村。理事長の吉田氏が名付けた。読んで字のごとし、5時からの生活を大事にしようという趣旨だ。15年間勤めた商社を辞めて地元に戻って20年。町長であった父から受け継いだ土地は、区画整理が進む街の中で貴重な森となっていた。この森の中にまず特別養護老人ホームをつくった。RC造。しかし何かが違った。次の幼稚園と専門学校は木造で造った。なるべく木は切るなと注文を出した。直接、棟梁に指示をした。木を守るため庇を切った。屋根に穴を開けた。ログハウス調の建物が森の中に点在した。そして今度のケアハウスはRC4階建てで造っている。もちろん木を守りつつ。そんな現場と森を見に行ってきた。
 環境住まい会議の見学会は、冒頭のような吉田氏の話から始まった。このゴジカラ村の取り付け道路は未舗装のままだ。「舗装せよ」とボランティアから嘆願書が出されるが無視をしている。何故なら子供達はこの道が大好きだから。雨が降れば水たまりで遊ぶ。晴れの日だってみちで遊ぶ。県から「人にやさしいまちづくり賞」を受賞した。でもこの村の中はバリアだらけだ。人の心にはバリアはない。
 実は町長だった父は区画整理を推進した。長久手の町は区画整理でできたといっても過言ではない。しかし吉田氏は木を大事にしたいという。木には「木の力」があるという。森はコナラが主体の雑木林だ。しかしどうも今までほっらかしでコナラが育っていないという。新たな里山づくりの実験でもある。
 ケアハウスの入札は難航した。3度不調に終わった後、当初より関わってきた環境NPO「次世代21」の濱田氏の勤務先である大成建設が受注し、「雑木林の会」の水野氏の協力も得つつ、試行錯誤で工事が進められている。

 ここまで話があった後、昼食と自由見学タイム(ただし工事現場は除く)。さっそく幼稚園、福祉施設群を歩く。

 「もりのようちえん」という。見学会の準備を始めた10時頃にひっきりなしに子供を連れた車が出入りする。その幼稚園に子供を預けた同僚に聞くと、10時集合、2時解散とのこと。ただし10時に集まって「おはよう」の会が会った後はまた自由に森の中で遊ぶ。見学中にお弁当の時間になる。給食はなし。みんなてんでバラバラに思い思いのところでお弁当を広げる。園地内には水が流され、鶏が叫び、秘密基地が作られ、そして子供達が言う。「おじさん、何してるの」。近隣で話題を呼び、かなり遠くからも人が来るらしい。園舎のログハウスも増築を重ねているとのこと。実に楽しい。
  
 福祉施設群の方に移動する。こちらも森の木々に囲まれ、また建物の前に植えられ置かれた木や盆栽で、建物の姿が見えないくらいだ。ボランティアセンターの看板が掲げられ、託児所では子供達が唄い、建物の中でお年寄り達が食事をしている。何かとっても狭い印象だが、お年寄りにとってはこれでいいのだろうか。確かに森の中にある。「たいようの杜」
 
 後半は、環境NPO「次世代21」の代表、濱田氏が司会で、大成建設のスタッフがパネルを前に説明をしてくれた。濱田氏は8年前から吉田氏と親交があり、今回の工事では通訳係として、会社スタッフと吉田氏との間に入って活躍している。説明は5つのパートに分かれる。最初は「工事管理」から。工期は今年1月から来年3月まで。2・3月は取付道路造成と伐採、5・6月は基礎工事。当初杭打ちを予定していたが、杭打ち機を据え付ける平場が取れないことなどから、布基礎に変更。これで改めて木の伐採検討を行う必要が出てきた。厚生省補助工事のため、出来高や工期には厳しい。続いて「工事環境管理」。まずは木のナンバーリングからスタート。280本以上を確認。続いて建物配置検討。設計のとおり建物を配置するとバッティングする木が少なくない。庇を切ったり建物形状を変更したり。続いて取付道路検討。木を切らないように。1本づつ木を検討していく。木が育つことも考えつつ。続いて「自然環境管理計画」。これは専ら敷地を取り巻く森の生態系調査。コナラは老木が多く若木が少ない。どんぐり調査をすると数は多く発芽もしているものの、それ以上育っていない模様。榊やカクレミノなどの照葉樹が多い。今後その原因を研究していくとのこと。里山に手が入れられなかったゆえの変移しつつある森かも知れない。続いて「樹木管理」。1本調査の後、表土かき調査。平均3.5cmは薄い。やむを得ず伐採した26本は再利用の予定。布基礎にして建物とぎりぎりになった木も根切り・枝打ちしつつ、大切に生かす道を探す。そして最後に「景観管理」。工事中の写真を撮って印象調査などをしている。これらの各班毎に2ヶ月に1回パネルを作成し、報告会を開催。これらを束ねることによって記録書ができる算段とのこと。最後に設計をした酒井氏からの話。27室を極力木を切らないように配するのはまるでパズルのようだった。確かに。

 このゴジカラ村を含んで、新しい長湫南部土地区画整理事業が始まっている。「歩くことが楽しくなる"まち"」というキャッチフレーズの計画書には「自然地形型住宅地」もあるなど、なかなか楽しい計画となっている。しかしこの住宅地も地元の地権者にはイマイチ受けが良くないとのこと。なんとか応援できると良いのだが。次はケアハウスができるときにでもまた訪ねたい。




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