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 Toshi-shi の まち遊び日記 ■
     I N D E X 2003    

 住まい手サポーター制度の創設 (2003.12.19)
 山里定住あすけ塾「竹炭づくり体験」と「山仕事を楽しむ」 (2003.12.13)
 山里定住あすけ塾ミニ講義「人と建築と自然との共生に配慮した家づくり〜地元材へのこだわりと足助大工の技、心意気〜」 (2003.10.18)
 山里定住あすけ塾ミニ講義「手入れをしながら住みこなす〜古民家で暮らすコツと知恵」 (2003. 8.23)
 あいくる−愛知県リサイクル資材評価制度 (2003. 8.29)
 環境住まい会議−住まいの温暖乾燥化と土の効果 (2003. 3.14)
 常滑やきもの散歩道の景観調査中間報告を聞いて (2003. 3. 6)
  I N D E X 2002 
2002年の日記はこちらから。



 住まい手サポーター制度の創設 (2003.12.19)
 愛知県に、住まい手にフェイス・トゥ・フェイスで様々な情報を提供する相談員、住まいサポーター制度が立ち上がりました。12月19日にこの制度創設を記念して講演会が開かれたので参加しました。
 「住まい手」とは、制度規定には「住宅を建設(新築・増改築・修繕)、購入あるいは適正に維持管理しようとする者」と難い定義がされていましたが、要は、住宅建設を検討している人、住まいに対して不安や不満を持っている人、関心のある人、すなわち住宅に住んでいる全ての人といって良いと思います。ようするに一般向けの相談窓口ですが、役場などの窓口へ出向かなくとも、いつでも電話相談にも応じてもらえるもので、相談員の名簿はインターネットで所在地別・得意分野別等で検索できます。相談員さんを「住まい手サポーター」と呼んでいる点もユニークですが、「業者の営業の立場ではなく、顧客の立場で相談にのります」ということで、例えば医療の場で近年「セカンド・オピニヨン」ということが言われますが、相談者にとっては同様な利用の仕方があるのではないでしょうか。
 もっとも相談員さんは基本的に関連団体から推薦を受けた業者さんで、それを「有料業務への移行を強要しない」「公平・中立な立場を厳守する」といった倫理規定でしばっています。
 同様な制度としては、国が音頭を取って進めた増改築相談員やマンションリフォームマネジャーがありますが、全国的な規模なだけに小回りが聞かず、一般向けには地方で十分な周知・浸透が図られていないことや、役場等の相談窓口との連携が図られず相談を待つばかりで実質的な効果を挙げていない点、増改築やリフォームなど限定的で、融資や法律・税務などの多様な相談に応じられないことなど、うまく機能していないのが実態ではないでしょうか。
 その点、県単位で発意されており、市町村での活用を呼びかけている点、弁護士会や税理士会とも連携した体制を整えていることなど、県内の増改築相談員等の制度調査を踏まえた仕組みになっている点が期待できます。
 講演会では、この制度創設に先頭に立って尽力された愛知教育大学の小川正光教授が話をされました。先に書いた相談員への調査や住情報利用の実態調査(山梨大田中助教授)などを参考に以下のような内容で、けっこう興味をもって聞くことができました。最後に小川先生からの注文で、「今後は、地区レベルの住まい手教育と本制度のPRが重要。市町村広報でも取り上げてほしい。」という話がありましたが、まさにそのとおりで、本制度が愛知県の住宅検討時の選択肢の一つとして根付き機能するといいなあと本当に思いました。




 山里定住あすけ塾「竹炭づくり体験」と「山仕事を楽しむ」 (2003.12.13)
 今回の山里定住あすけ塾は「竹炭づくり体験」。その前に簡単に解説しておくと、山里定住あすけ塾は足助町が町外者の定住を進めるために隔月で開催しているイベントで、山里の暮らし体験と定住に向けたミニ講義が主な内容。今までの山里体験は、畑でサツマイモの苗付け、真夏の草取りと竹細工、秋には収穫・やきいもづくり、そして今回が竹炭づくり。畑仕事は普段からやっているけど、炭づくりは初めての経験で楽しかった。
 今回は参加者が当日中に炭を持って帰れるようにと、オイル缶を利用した小さな窯を使って竹炭を作った。オイル缶の上部と側面に10cm程度の穴を開けて、側面の穴にホームセンターで購入した長さ1mほどのL字型の煙突をつなげ、それを一体にして土の中に埋め込む。
 底に竹を敷き、内部を新聞紙で囲んでから、中にオイル缶の長さに合わせて切り割った竹を詰め込む(最近は鉈の使い方もうまくなってきた)。煙道に配慮しつつ、ぎっしりと隙間なく詰め込んだら、薪を乗せて火をつけ、火が竹に回るようにうちわであおぐ。しばらくがんばると煙突から出る煙の色が白く変わり、放っておいてももくもくと出てくるようになる。そしたら蓋をして、周りに土をかぶせて空気が入らないようにし、空気穴もレンガでふさぎ徐々に狭くしていく。
 ここからが長いので、蓋の上の土の中に栗やサツマイモを埋めて、しばらく交流会。自己紹介をしたり、用意されたなめこ汁を飲んだり、お昼を食べていると、今日の講師の里山企画ピコロ、森林インストラクター山本薫久さん登場。山本さんは40代まで名古屋で教員を勤め、一念発起して足助町へ定住。農地を借りて米や野菜を作り、山を借りて森林作業を楽しみ、山仕事実践の会や足助きこり塾、足助炭やき塾などに参加して技術と知識を蓄え、森林インストラクターの資格も取得して、仲間とともに足助まちづくり塾を組織して、定住希望者の手引きをされている定住先輩。山仕事の魅力や最低限の心得などのレクチャーの後、山本さんが借りている山に入って山仕事の話を聞く。その後、同じ足助まちづくり塾の仲間として、また足助炭やき塾の講師であり、高嶺下住宅開発のなくてはならない地元人である梶誠さんの所有する炭窯の前で、梶さんから一般的な炭やきの仕事について話を伺う。個人的にも何度か聞いた話ではあるが、改めて山の生活者はすごいと思う。
 その間、それまで白かった煙が青く変わりだすと、空気穴を全開して5分間だけ勢いよく火をおこし、続いて空気穴も煙突の吐き出し口も閉めて、土をかぶせ、窯止めをする。それから1時間。山本さんや梶さんの話をひとしきり楽しんだ後、冷えた窯の土をどけ、蓋をはずして、できあがった竹炭を取り出す。できた。
 竹を切る。火をつける。煙の色を見る。窯止めの手際良さ。そして炭の活用。山での作業には人間が忘れかけている様々な生活の技術と知恵があふれている。まさに全人的な生活であると感じた。



 山里定住あすけ塾ミニ講義「人と建築と自然との共生に配慮した家づくり〜地元材へのこだわりと足助大工の技、心意気〜」 (2003.10.18)
 再び、山里あすけ定住塾でのミニ講義レポート。今回の講師は、地元足助で産直住宅の設計・建設を行なっている株式会社ほるくすの大江さん。「ほるくす」は、昭和59年に足助町が策定したHOPE計画に基づき、藤本昌也の現代計画研究所がサポートして開発した民家型木住システムを動かすため、当時、町が出資して設立した第3セクターが起源だが、その後、町は出資金を引き上げ、一民間企業として独立独歩。しかし設立当時の趣旨を今も守り、地元材の使用や伝統的構法を取り入れ、地元職人の技を生かした、人と自然にやさしい住まいづくりを続けている。
 大江さんは、「ほるくす」としての仕事もさることながら、中部自然住宅ネットワークの事務局として、自然素材を生かした身体にやさしい住まいづくりの活動を進め、名古屋国立病院の皮膚科医師の呼びかけで始まったアトピー環境研究会にも積極的にかかわり、シックハウスという言葉が一般的になる前から、住まいと健康の問題に関心を持ち、研究と実践を進めてきた。愛知県が平成11年度に設立した「愛知県/環境にやさしい住まい・まちづくり会議」でも世話人として中心的な役割を務め、最近は「NPO法人 緑の列島ネットワーク」にも参加し、近くの山の木で家をつくる運動に精力的に取り組んでいる。
 講義は、1.なぜ、近くの山の木で家をつくるのか? に始まり、2.住まいが人の健康を蝕むなんて(シックハウスによるアレルギーの実態) 3.子孫にツケをおくらないためにも土へ戻る自然素材で家をたてよう 4.スローライフのすすめ〜スローハウスを建てよう の4つのパートを約1時間強。これでは全然時間が取りないと、熱心に話をされた。
 話の内容は、どのパートも具体的な事例がたくさんあり、たいへん面白かったが、特に次の話には思わずメモを取った。

 などなど。最近は愛・地球博の中の一施設の設計にも関わっているとか。どんどんと自信を持って前進していく大江さんの姿には、日ごろから尊敬の念を禁じえません。




 山里定住あすけ塾ミニ講義「手入れをしながら住みこなす〜古民家で暮らすコツと知恵」 (2003. 8.23)
 足助で行っている定住希望者向けのイベントで、古材バンクの会・中部ネットワークの西村さんと三矢さんから、古民家に暮らすをテーマにした講義を聞いた。西村さんは建築系の専門家であり、話の内容も、■古材バンクの会の紹介 から始まって、■日本の普通の暮らし、世界の普通の暮らし、■木造民家は何年保つか、■アメリカの中古住宅事情、■住み継ぐことのできる住宅とは、■古民家とはこんなもの、■建築再生事例−NPOプラザちた(知多市)、珈琲専門店あがるた(瀬戸市)、■終わりに、の順に、用意されたレジュメに従って、整然と説明をいただいた。
 西村さんの悠々とした話しぶりに、さすがに古民家好きなだけあると感心もし、自己反省もしたが、内容的には建築的には必ずしも目新しい訳ではない。それでも、■日本の普通の暮らし、世界の普通の暮らし の中で示された、「日本の住宅がいかにモノにあふれモノに埋もれているか」といった問いかけや、「木造住宅は、定期的に補修、改修を加えれば、100年は保つ!」という呼びかけは、心を打つ。25年毎に建て替えるのではなく、25年毎に大きな改修等を行って、100年保たせようという呼びかけだ。
 また、■アメリカの中古住宅事情 で示された、「アメリカでは築年数に応じて価格が上昇する」という説明もみんな意外に思っただろう。「昔は『普請道楽』と言われた。これは1回こっきり大金をはたいて立派な建物を造ることではなく、いつも少しづつ建物の維持・改修にお金を投じ続けることだ」という説明もあった。
 「古民家再生を建築家に依頼しきちんとやると、坪75〜85万円(新築の1〜2割増し)かかる。かといってDIYは楽しくても楽ではない。適時のメンテナンス、時には改修を行うことで、(主観的な)価値は上昇する。」というのは一般論としては聞いていた皆さんも納得できる話だろう。
 問題は、でも実際はどうか、ということ。その点で、知多市で古民家を借り上げて、改修を行いながらNPO事務所として活用している三矢さんの話は生きた事例を与えてくれた。「古い建築年の部分は修理をして使用しているが、新建材を使った新しい部分は、撤去せざるを得なかった」という話は、みんなの興味を引いただろう。しかしそれにしてもやはり特殊な一事例でしかない。結局、古民家再生は、今回の話のようなマインドを保持しつつ、個別具体の住宅に面して、それぞれが納得するレベル・内容でトライアルしていくしかないのだろう。
 当日は既に足助町の空家を借りて、DIYで改修を楽しんでいる人もみえていた。この方の場合は、現在、岩風呂づくりに挑戦中だとか。古民家再生に唯一の正解はない、ということか。



 あいくる−愛知県リサイクル資材評価制度 (2003. 8.29)
 講師の川端さんは中心市街地すまい研究会の活動も一緒にやっている仲間であり、これらの活動に私を導いてくれた先輩でもあるので、内輪褒めになってしまいますが、研修として事業内容と実績について聞く機会があり、行政施策としてもっと評価を得てよい施策だと感じたので報告します。
 この施策を立案・提案を始めた2001年当時から構想や財政部局との交渉経過などはよく聞いていたのですが、昨年度(2002年度)から本格稼働を始め、当初に想定した以上の成果を上げてきています。
 仕組みとしては簡単。建設リサイクル資材について評価基準に照らし適合しているものを認定し、それを県の公共工事で率先して使おう、というものです。
 現在、基準として定めた資材が22品目。昨年1年間で148件328資材が認定され、今年度認定分も入れると既に600資材を越える認定がされています。評価基準としては、(1)共通仕様書等に対応した性能規定(公共工事で使用可能な品質・性能)、(2)リサイクル率(再生原料の含有率)、(3)安全性基準(溶出基準、成分基準)、(4)品質管理(工場審査)、(5)環境負荷(再リサイクル性等)の5項目。これを品目毎に定め、評価委員会を経て認定をしています。
 一方、認定されたものは県施工の公共工事で率先して使用するよう、愛知県あいくる材率先利用方針を定め、価格が同等以下の場合は特段の理由がない限り使用、それ以外でも予算の範囲内で積極利用するように定めています。これらを特記仕様書に定めることで、県工事では必然的に優先使用するような仕組みとなっています。
 この仕組みの中で特徴的なのは、環境部局ではなく建設部局で実施している(全国初)ため、公共工事と連動した率先利用の仕組みができあがっていることと、認定にあたって製造地や再生原料の産地を限定しなかったこと。後者により、1/3は県外産資材ではあるものの、そもそも製造所は全国的に偏って存在しているため、愛知県内で製造されていない資材も認定することにより、ほとんど全ての資材を網羅することができています。しかも幸いなことに愛知県は産業首都を標榜する工業県であり、建設資材の生産力が高いだけでなく、工場生産の結果として排出される産業廃棄物が多く、それらを再利用してリサイクル製品を作る技術力も高いものがあります。
 愛知県がいち早く始めたこともあり、他県で追随してやろうとした途端、愛知県産の資材の申請が殺到し、全国を圧倒するという事態にもなりかねず、かといって他県で行われているような産地限定をすると、資材が限定的または業界指導から始める必要が出てきます。このあたりも先見の明があったというべきでしょうか。もっとも、川端さん本人は、その点はあまり考えてなかったと言ってますが、地方施策を企画立案するにあたり、地域性・地方独自性を生かすという視点は非常に重要だということを実感させられます。実態として、認定制度の率先利用の仕組みを作ったら、県内のリサイクル製品開発をしていた企業が想像以上にこうした制度ができるのを待っていた、利用してくれた、すなわち需要に合っていたということでしょう。
 価格の点については、「リサイクル材は高い」という固定観念を打破し、却って安くなっている事例も多いとのこと。例えば、下水汚泥を従来8000円/tで処理していた処理場から、その汚泥を4000円/tで引き取りリサイクル材を製造することで、原材料費がただ以下になり、価格的にも安くできる。しかも下水処理場は処理費が半減し、汚泥100%再生利用とアピールすることが可能。こうしてできたセラミック管は従来品に比べ強度も高いことから、土かぶり深さも浅くでき、材だけでなく工務費も低減した、という事例もあるようです。
 愛知県は2005年に愛・地球博の開催を控え、これから会場整備やパビリオンの建設工事が集中的に行われます。こうした中で、一層、あいくる材の利用をアピールすることを考えているということで、そのためには少しでも安くあいくる材を利用できるシステムとして、あいくるリユースシステム(仮称・万博期間中のみ利用する資材をリースし、期間終了後、県施工の公共工事で再利用する仕組み)の提案なども考えているとか。
 環境・リサイクルを倫理面だけではなく、利益の面でも推進できる仕組みを考えるという川端さんの発想やセンスにはホント脱帽ものです。



 環境住まい会議−住まいの温暖乾燥化と土の効果 (2003. 3.14)
 愛知県が設置している住まい環境に関する市民とコラボレートした推進組織「愛知県/環境と共生した住まい・まちづくり環境会議(略称:環境住まい会議)」の総会とディスカッションに参加した。正確には総会には遅刻したため、ディスカッションだけ。
 愛知県がこの3月に作成・公表した「あいちエコ住宅ガイドライン」の披露を兼ねつつ、話題提供者として、青木哲氏(岐阜工業高等専門学校助手)と岡田明廣氏(愛知県左官業協同組合副理事長)を迎え、コーディネーターが笠嶋泰氏(大同工業大学教授)、加えて会場には、この地域の建築環境の大御所、宮野先生が控え、適切かつ軽妙なコメントをされるという豪華版。
 青木氏からは、岐阜県内での調査で、アレルギー症状を持つ幼児の割合が4割以上という衝撃的な報告の後、最近の住宅で、温暖乾燥化が進んでおり、アレルギー疾患を持つ患者の住宅で特にこの傾向が強いことを報告された。
 岡田氏と言えば、左官業組合の顔以上に、左官集団「花咲か団」の代表として、日本国内数々の建物の左官工事を担当し仕上げてきたことでも有名。話は、土を生かし、自然を生かした住まいが一番、ということに終始したが、素朴な語り口は非常に好感が持てた。
 会場とのディスカッションでは、「『若い人に暑い寒いは我慢せよ』とばかり言うのは、時代遅れではないか」といった意見が出たり、左官職人の減少を懸念する声が出たりして、非常に興味深かった。私からも「この地域の土の現況」について質問をさせてもらったが、「土は十分ある。特にこの地域は、花崗岩質の山が広がっており、花崗岩に草木が混ざったものが左官土として最適であるから、地域的にも土壁など左官工事が適する地域である。しかし如何せん需要がない。時代の流れで左官工事自体が減っている。このため土も流通しない。結果、高いものになってくる、という悪循環だ。」と答えていただいた。地域財としての土の効用を今一度見直していくことが求められている。



 常滑やきもの散歩道の景観調査中間報告を聞いて (2003. 3. 6)
 やきもの散歩道の会、NPOタウンキーピングの会主催で、今年度常滑市が日本福祉大佐々木葉先生に委託している「常滑やきもの散歩道地区景観構成要素調査」の中間報告会があった。最近、マスコミに取り上げられることも多く、年々観光客が増加している常滑やきもの散歩道だが、これまできちんとした景観調査が行なわれたことはなかったのではないか。
 約700棟の建物と地区内の道路・擁壁の現地調査を行なうとともに、地区内の住民・事業者に対してアンケート調査を行なっている。建物は、規模・用途、形式(用途に応じて、伝統的窯屋、改修された窯屋、窯屋以外の和風建築、プレハブ・非木造などに分類)、色合い、各部の素材、外構の状況などを調査。道路は、幅員、勾配、階段、路面素材、側溝・水路などを詳細に調査している。
 改めて調査結果を眺めると、思った以上に住宅が多く全棟の半分近いこと。また窯屋タイプのものがまだまだ多く残っていること。一方でプレハブ等は全住宅のうち約1割だが、全体的に満遍なく分布していること、などがわかる。また、切妻屋根が8割、外壁板張り8割、黒・茶色の外壁は約半数といったあたりも興味を引く。
 道路は幅員1.5〜2.5mが大半で、「欠点が魅力、残したいものが違法」という佐々木先生の言葉は、狭くて手触り感のある散歩道の雰囲気が、狭小道路に面するという建築基準法不適格という状況ゆえに成立していることを物語っている。同時に行なわれたアンケート調査では、「道が狭い」、「防災上不安」を地域環境の悪い点としてあげつつ、「静かで落ち着いている」を良い点としてあげられている。
 また佐々木先生から、散歩道の今後の方向として「居住環境の重視」「芸術的な拠点」「観光客のにぎわい」があい拮抗している点、景観デザインの方向性について「窯屋デザインの維持」と「デザインルール不要」が拮抗している点をあげ、地域の意向がまだ共有されておらず、今後住民にこれらの結果をきちんと伝え、共有意識を醸成していくことが重要だという指摘があった。
 一方で、全体を中途半端な基準やルールでしばってしまうと、かえって全体が死んでしまう、スレート葺きの近代的な工場もこの地区には意外に合っているのではないか、という指摘はそのとおりだと思う。
 かつてこの地区の景観要素についてディスカッションしたときも、京都や足助のような伝統的なまちなみ形成地区とは違って、近代的産業景観の集積で構成されたこの地区は、格子や瓦屋根といったわかりやすい景観要素が特徴なのではなく、アスファルト舗装やコンクリートの電柱と電線、道路脇に積まれた陶器廃材などがこの地区らしさを醸している、という意見があったし、私もそのとおりだと思う。しかしそれはわかりにくい。
 佐々木先生がご指摘の、住民の共通意識の醸成も、意見が割れている状況では、うまくやらないと空中分解しかねない。わかりやすく住民の誇りを掻き立て、かつ経営的若しくは住環境的にもプラスに感じられるような景観ガイドラインのようなものが必要かもしれない。まず散歩道心得が第1歩。第2歩はどこへ踏み出せばよいのか。これからの課題だ。
 なおこれらの調査と合わせて、同じく日本福祉大の野呂研究室と合同で、バリアフリー調査が行なわれている。身体障害のある学生9名とともに地区内を歩いたもので、急坂ばかりの散歩道はぼろくそ言われるかと思っていたけど、意外に好意的な意見が多く安心した。楽しい空間は障害者にとってもどこか心をはずませるようだ。しかし「蓋のない側溝が怖い」というのは重要な指摘。こちらは来年度も継続して調査してもらえるようで、今後が期待される。



 Toshi-shi の まち遊び日記 ■


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