豊橋・プラス・ベータ・ネットワーク






(95/04/16)
 豊橋市の呉服通りのすぐ近くの神明公園を舞台にデザインゲームを行ったグループがあります。これが「プラス・ベータ」というグループです。
 私は呉服創遊会の会の時に資料だけいただいたので詳しいことはわからないのですが、設立は平成4年。宮脇さんという方が中心となって、「豊橋のまちづくり・人づくりを考えよう」と設立した市民グループで、平成4年5年は、公園ウォッチングや歴史オリエンテーリング等のイベントを行いつつ、公園を中心にまちづくりを考える活動をしてきましたが、平成6年から神明公園という具体の公園を舞台にデザインゲームをくりひろげてきました。
 内容と経過は次のとおりです。
第1回デザインゲーム「公園でできることってなあに」
  公園で遊ぼう、作ろう、食べよう、考えよう
第2回デザインゲーム「こんな公園にしたいな探検隊」
  タウンウォッチングと絵地図づくり
第3回デザインゲーム「できるといいな、 あったらいいな、 こんな神明公園」
 イメージカード、目標カードから公園計画づくり
第4回デザインゲーム「いっしょに公園模型作ろうよ」
  第3回の成果を平面図にまとめ、模型づくり
第5回デザインゲーム「まとめよう、私たちの神明公園 Part1 」
  4つの案をまとめるため、応援合戦、けちつけ合戦そして旗揚ゲーム
第6回デザインゲーム「まとめよう、私たちの神明公園 Part2 」
  ディスカッションで公園計画のまとめ(BUTまとまらず次回持越し)
第7回デザインゲーム「まとめよう、私たちの神明公園 Part3 」
  トイレの位置、水辺、樹木、施設等について旗揚げゲーム
第8回デザインゲーム「できたぞ、やったぞ、NEW神明公園」
  完成模型の発表。乾杯

 そして1995年 3月21日にまちづくり発表会を行いました。その際には世田谷まちづくりセンターの研究員、浅海氏にも来ていただき、おほめの言葉をいただいたようです。また計画案は市の担当課へ提出され、正直言えば市は苦慮しているんでしょうが、前向きに考えたいという言葉をもらったようです。
 これらの活動が、行政の働き掛けのないところで住民の自主的な活動として全て行われました。噂は市の方から聞いていたのですが、今日資料をいただき改めてその活動に感心、というより感動しました。幸い、このメンバーとして活動された建築士の方を知っていますので、是非なにかの機会にもっと詳細にこれらの活動の状況を聞きたいと思っています。


(97/03/07)
 豊橋市呉服創遊会へ行く途中、神明公園の横を通っていきました。現在、プラスベータの会が提案した計画に沿って、公園整備の工事中です。来年の春、完成予定ということでした。できれば、セルフビルドなんかが実現できればよかったんですが、そこまでは市も受け入れられなかったかな?でも完成が楽しみです。

完成した神明公園 (1998. 3.15)
  
 南側入口の三角コーナー   /            噴水を中心にした広場      /         北側は遊具が



(98/03/15)
 豊橋市を拠点に活動している市民グループ「プラス・ベータ」の活動を見学してきました。見学当日は、このグループが参画してデザインゲームを行った神明と黒福の2つの公園の「完成をみんなで祝う会」が午前10時と午後1時からそれぞれ開かれ、私たちは午後の黒福公園のお祝い会に参加した後、グループの方と豊橋市公園緑地課の方々の打ち上げ会に参加しつつ、色々な話を伺ってきました。

 まずは「黒福公園の完成をみんなで祝う会」ですが、我々が1時少し前に駆けつけたときには既に公園には子供会、町内会こぞって、100名以上の人が集まり、(あいにくの寒さと強風の中)開会を待ちわびていました。お祝い会ですので特段デザインゲームやワークショップはやりませんでしたが、プログラム・進行はプラス・ベータが受け持ち、市の公園緑地課と(財)みどりの協会、市消防署の方が縁の下の力持ちとなって、驚くほど多くのプログラムが次々と執り行われます。

 まずはあいさつ。町内会長に続いてワークショップに参加した住民代表の主婦。「公園は私たちの庭の延長」という言葉が嬉しい。市長もニコニコとあいさつ。
 それから老若男女、広場を囲んで手をつなぎ、「春がきた」と「ハッピーバースデイ」の合唱。なんとも心が和んだ後で、みんな一列に並んで一斉に手でちぎるテープカット。続いてせせらぎに通水式。みんなでカウントダウンして80歳近いおばあちゃんが代表で循環ポンプにスイッチオン。さらに、子供会、町内会、プラス・ベータと分かれて、桜の木などを植樹。せせらぎに架かるシンボルの橋の上に子供たちが集まっての記念写真と、続いてすべり台のすべり初め。さらにはハーブの種まき(芝生の上にカモミール蒔き等)と北隣の消防署から放水式(ハーブの水遣りも兼ねて)。なお消防署では起震車による地震体験等も実施。その間には町内会が用意した大人には甘酒、子供にはお菓子。
完成祝いワークショップの様々なプログラム
   
   みんなで手をつないで歌う  /  みんなでテープカット   /   せせらぎ通水式  /     植樹
   
   すべり初め  /     ハーブ植え  /      巣箱の除幕式    /    折り船の競争

 子供会は新しく木に架けた鳥の巣箱の除幕式と、続いてせせらぎの遊び方披露で折り紙で船を作って折り船レースと、次から次へと盛りだくさんのプログラムが1時間半ほどの間に繰り広げられ、最後は市の都市開発部長さんのあいさつで終わり。子供たちも楽しみ、高齢の方も童心に帰り、そして何より大人が一番楽しんだ。心温まる式典でした。

 さて、プラス・ベータですが、「人とまちを、つなぐ、まちづくり」を掲げ、平成4年に発足した市民グループです。発端は市の中心地にある「豊橋公園」の市民を置き去りにしての変化に不安を抱いた宮脇佐知子さんが、街や人に関心を持つ友人等20名ほどに声を掛けたのが最初。最初からデザインゲームをしようということではなく、メンバーが集まって話をしている中で、こうした手法があるらしいと世田谷や豊田市等へも視察に出かけた末、公園ウォッチング「まちなか公園探検隊」等のイベントを実施したとのこと。平成5年10月からは市中心部の神明公園を舞台に、市民を巻き込み、デザインゲームを8回に亘って行い、そのまとめとして平成7年3月に、世田谷区の浅海氏を迎え、まちづくり発表会「いちばん新しい井戸端会議」を開催し、その成果をもって、市役所の公園緑地課に具体の公園づくりについて要望を上げました。
 私が知っていたのはここまでで、当然このデザインゲームの結果が今回の公園に結実したのかと思っていましたがそうではなく、市ではこの要望を受け、再度平成7年度事業として、神明公園・黒福公園においてデザインゲームを実施し、これを基にデザインプランを決定し工事が進められたとのことでした。公園工事は8・9年度の2か年に亘り、今回ようやく2つの公園が完成しましたが、その間にも、ハーブ勉強会や樹木医さんを囲む会、地鎮祭デザインゲーム、花壇づくりなどの活動を行い、さらに今年の2月には市内の向山大池を舞台に自然との共生を考える次の活動に歩を進めています。

 今回の公園づくりにあたっては、市と住民の間にプラス・ベータが入り(ちなみに全くの手弁当で、市からは公園設計のコンサルタントに委託が行われただけとのこと)、当初は既存の町内会との確執みたいなものもあったようですが、新住民・子育て中の若い主婦を中心に、楽しくデザインゲームが展開されたようです。しかし市の取り組みとしては必ずしも市を上げてという対応でなく、係長の英断といった側面も強いようで、また情報の完全開示や最終決定を留保(住民に相談なく内容を変更等)するなど、まだまだ世田谷区などに比べると行政の姿勢として十分なものとは言えません。これは「次回の予定は?」という質問に対し計画的な発言が見られなかったことや維持管理に対して必ずしも戦略的に住民へ委譲することが考えられていないことなどにも表れていますが、一方で1係で必ずしも市役所全体の理解が不十分な中では非常によくやったという評価もあると思います。
 このあたり、宮脇さんが市役所の方に(実際には多少の不満はあったとおもうのですが)「思った以上に良い公園ができた」と発言をしていたところなど、市民が市役所・公務員を育てている様で、この活動の性格をかいま見たような気がしました。プラス・ベータの組織としては、宮脇さんが最初に声を掛けたものの、会の代表(対外的役割)と議長(対内的とりまとめ)は他の方が担当しており、このあたりもこの組織がうまくいっている要因のひとつだと思います。メンバーの新規加入は開かれていますが、最初のメンバーは組織や活動の総体を睨みつつ、一面識しかない人なども含め様々な専門分野に渡ってリストアップし声を掛けたということで、その多くは自営のデザイナー等の、一人で責任を持って仕事をこなす自立した職業の方であり、また子育ても終わった比較的時間にゆとりのある年代の方がそろっているという点も、宮脇さんのしたたかな計算が生きているという気がします。
 
 「われわれはけっして市民のためとか市役所のためとかで活動しているのではない。自分のために」と公言する彼らたち。プラス・ベータの活動は、「まち」が遊び場として絶好の場だと発見してしまった大人たちの、上質な「遊び」だと総括したいと思います。公園とかデザインゲームとかにこだわらず、常にその目は街の中の楽しいこと、面白い舞台で自分たちが何をして遊ぼうかに向けられているようです。こうしたまちを舞台とした遊び集団、第2・第3のプラス・ベータ(いや、プラス・ガンマ、プラス・イータかな?)が市民と行政の間でもっともっと多く活躍を始めると、まちもますます楽しく風通しの良いものになるのだろうと思います。

プラス・ベータ・ネットワーク事務局の連絡先はこちら
 〒440 豊橋市八町通3丁目26 TEL 0532-54-5988(つむぎ工房内)




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