若狭街道・熊川宿



(2001/ 3/31)




北淡海・丸子船の館
 3月最後の休日。家族で福井県上中町熊川へ行った。桜もほころび始めたというのに、突然の寒波襲来で東京では小雪も舞ったというどんよりとした空模様に若干の不安を持ちつつ、北陸自動車道・木之本ICを降りて、奥琵琶湖パークウェイへ向かう。静かな湖面沿いに続く道を左折し、九十九折りの道を高度を高めつつ登っていくと、下には入り組んだ水面が光っている。・・・と気分良く運転をしていたら、突然「降雪のため通行止め」のバリケード! Uターンしパークウェイを反対側から入ろうと車をめぐらす。西浅井町からの入り口付近に、古い民家を保存した資料館と近代的な建物が併設された北淡海・丸子船の館が目に止まり、車を付ける。資料館の大きく開かれた窓から木造の古い丸子船が見える。パークウェイの状況を聞くと親切に答えてくれた。3月15日に一旦は開通したものの、昨夜はかなり雪が舞ったとのこと。
 奥琵琶湖パークウェイへ向かう道は湖面ぎりぎりを走り、ガードレールもなく見通せて気持ちが良い。琵琶湖には竹生島が大きい姿を見せる。展望台にあるレストランでのんびりと食事を取る。小雨模様。湖の手前の林を小鳥が囀り飛んでいく。
 そこから先はやはり通行止めなので、引き返して湖岸道路をマキノ町、今津町方面に向かう。別荘もいくつか並び、気持ちが良い。沿道は桜並木が続き、あと2週間もするととてもきれいだろう。残念。
 今津町から右折し国道303線を北上する。今津から小浜に至るこの道は、鯖街道と呼ばれ、蝦夷から北前船で運ばれ小浜で荷揚げされた物資は、この街道を通って琵琶湖に運ばれ、船運で京都・大阪に届けられる。この街道のちょうど中間地点にあたる熊川宿は、鯖街道の中継地として大小の問屋が軒を連ね、大変繁盛したという。
 福井県に入り、峠を越えた先に、道の駅・四季彩館がある。ここで車を止め、通りを歩いていく。奈良井に似た静かな雰囲気で、あまり飾り気がないのがうれしい。手作りの鯖寿司の店があり、帰りに買って帰ることにする。妻入りの蔵や平入りの町家が並んで建つ。道沿いに流れる水量豊かな水路の音が心地よい。水路は途中で道を横断し、また戻りしつつ、河内川に注ぎ込む。きれいに復元した中条橋が架かる。ここまでが上ノ町。この橋から先の中ノ町は道路もきれいに整備されている。橋のたもとでギャラリーを開いている旧逸見勘兵衛家に誘い込まれるように入っていく。蔦細工の駕籠や花入れが並んでいる。ミセの奥に見られる木組みがきれいで覗いていたら、店番の中年女性にどうぞごらんくださいと誘われた。
  
上ノ町の通りと民家

 民家にしては明るい室内に古い民具がきれいに並べられている。壁に掛けられた油絵やふすま絵がきれい。熊川宿を舞台に建築士会等による町並み保存の積極的な取り組みがされていることは知っていたが、この旧逸見勘兵衛家は古い民家を現在の住まいとして利用していくためのモデル住宅として整備されたとのこと。「ふすま絵はこの住宅を設計された東京芸大の吉田○○さんが描かれたものです。」と雅号で説明されたときは「ウム」と一瞬頭をひねったが、吉田桂二設計のもの。妻面にはやや大きく窓を開き、2階のツシも低い天井を居室としてリフォームをしている。1階からの見降ろしや中庭と蔵の景観がきれいだ。
 
旧逸見勘兵衛家 外観/中庭/室内

 女性とひとしきり話をして、また通り沿いに歩を進める。洋館の建物は現在宿場館として公開されている旧熊川村役場。水路に水車が掛けられ、子供が思わず歓声を上げる。通りには店舗はほとんどなく、しかしかなりきれいに手が入れられている建物が多い。本町の終点には修景整備された駐在所があって、振り返ると山並みをバックにした町並みがゆるやかにカーブを描き、美しい。
  
中ノ町の通りと民家 / 宿場館(旧熊川村役場 S15築)
   
御蔵道    /    葛の店「まる志ん」    /    長屋道    /    妻入りの立派な民家

 道はここで国道と交差するが、旧道はカギの手に曲がり、さらに先へと伸びている。しかし下ノ町の方は道路整備などはされておらず、のどかな感じがまた好感を持てる。さらに終点まで子供と歩き、また戻ってきた。中ノ町の中程にある葛の店 まる志ん葛切り葛もちそして葛うどんを食べる。店のおばさんに昔の話を聞く。ここ熊川は問屋が多く、それも京都への単なる中継問屋ではなく、ここから西・東に販路を持っていた大きな問屋が多かったとのこと。ここ20年ほどで急激に衰退したが、往時はパチンコ店を始め様々な店舗が開き、大変賑わったという話にはびっくりした。今では食事や喫茶のできる店が2店舗ほどある他は、酒屋などが数店あるだけでスーパーや日用雑貨等の店舗もいっさいなく、とてもそうした反映の時代があったとは思えない。スーパー等の店舗は国道沿いにしばらく行くと十分あるし、小浜市へ出るのもすぐの通勤圏であってみれば、住宅地として十分成り立つ立地条件は備えているのかもしれない。土産物屋も通り沿いにはなく、道の駅で販売をしている程度。個人的にはこうした状況がいつまでも続くとうれしいのだが。
 暖かい人とのふれあいもあり、またやさしい自然が心地よい春の1日の家族旅行。今度は桜の季節に訪れたいと思う。
 

時計の付いた灯籠
 
駐在所から上ノ町   /   水路に水車
  
下ノ町の民家





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