愛知の離島・佐久島を歩く 
 
東集落の造形作品展示民家

(98/11/14)
 愛知県にはいわゆる離島振興法で離島に指定されている島が3つあります。南知多町に含まれる篠島・日間賀島に、一色町の佐久島。このうちで最も人口が少ない佐久島に初めて行ってきました。佐久島では人口減少に歯止めをかけ、来島する客の増加と島の振興を図るため、弁天海港構想を掲げ、文化と芸術による振興施策を講じてきましたが、その中心的拠点施設となる「弁天サロン」が完成したことを祝い、11月14日・15日の2日間、全島を上げてのオープニングフェスティバルが開催されました。たまたま仕事で一色町の住宅マスタープランに関わっていることもあり、土曜日(14日)の1日、釣り竿を手に島巡りをしてきました。
 当日はお昼前、午前11時15分発の高速船で一色町渡船場から町営の連絡船に乗り込み、約30分。篠島・日間賀島や知多半島のリゾートマンションなども間近に見える中、ようやく佐久島の西港に着岸。我々は東港まで引き続き船に乗ってようやく到着。漁船などが並ぶ東港も上陸してみれば、フェスティバルに参加するスーツ姿の人が目立つものの、港としては小さく堤防の内側には管理事務所が1軒きりあるだけの閑散とした雰囲気の港でした。ちょうどお昼時ということで、港近くに3・4軒並ぶ民宿兼食堂の1軒に入って、海老フライ定食や大アサリ丼、シャコに小海老の空揚げなどを注文するが、大きな海老フライが5本も並ぶなど、その内容とボリュームには満足。島巡りの前にもすっかりくつろいでしまいましたが、重い腰を上げ、島内のあちこちで制作・展示されている芸術作品を見つつ島を巡ることとなりました(その前に釣り餌を購入(^_^))。
 まず訪れたのが東港そばのトタン張り小屋に展示されたイングリッド・ホイザー作の前衛的作品。以下の作品は同行したnabeさんのホームページに詳しいのでそちらを参照して欲しいのですが、それぞれの作品の展示してある民家の前に、島内の老人たちが詰めているのが楽しそうで印象的でした。
 続いて島を東進し、断層の縞模様がそのままの佐久石を積み上げた石垣と黒壁の民家が並ぶ狭い道を登っていったところに、前庭の南天の実も美しい立派な民家があります。ここでも数人のご老人が作品の案内と留守番役を務め、民家の中では、米谷栄一氏の紅色のきれいな張り子の人形等が部屋中を飛翔していました。上がり端に作者の米谷氏に呼びかけられたのはちょっと嬉しかったかな?もっとも話の内容は「同じデジカメを持ってますね」でしたが(^^ゞテヘヘッ。
  
 その後、東集落を狭い道を通り抜けながら、散策。下見板張りの黒壁が両側に迫り、所々畑や空き地でスコンと抜ける。道はくねくねとうねるけど、どこか暖かく明るい。三河地方独特の長屋門の奥に拡がる庭には柿や南天が実をつけ、猫がひなたぼっこをしている。伸び伸びと明るいこの雰囲気は、穏やかで豊かな三河湾の気候そのもので、とてもリラックスできます。
大浦海水浴場管理棟
 いつしか海沿いの道に出て、島唯一の幹線道路1号線を西港に向かって歩いていく、その間は、右に島でも少ない水田と林が拡がり、左手には三河湾がきらめく。途中、海側は海水浴場として整備され、町が建設した管理棟はシャワー・更衣室・トイレが全て無料というのも嬉しい。ちなみに春は潮干狩り、夏はキャンプ、そして海釣りセンターも整備され、釣りは年中楽しめます。
奈部雅昭氏の作品と西集落の民家
 と歩くこと20分余り。西集落に着きました。海沿いに民宿が並ぶ東集落とは違って、両側民家が迫る中に寂れた店舗や民宿の看板があるのは少し落ち着いた雰囲気がします。その西はずれの民家の中庭に納戸にあったような古い道具類を組み合わせ積み上げた奈部雅昭氏の作品が展示されています。これらの作品群を見てつくづく思うのは、「島が美術館、民家がキャンバス」ということ。島全体・集落全体が美術館として訪れる者をリラックスさせるとともに雰囲気を盛り上げ、民家がキャンバスとなり展示作品と一体となって意味を醸し、存在をアピールする。観賞後は再び島の人と気候が鑑賞者の心を和らげ、海が意味を問いなおし、思索が訪れる。まさに「佐久島はそのものが美術館」。芸術家村構想の成功を切に祈りたいと思います。
弁天サロンを核に、西港を巡る景観

 ようやくたどり着いた「弁天サロン」。佐久島の西港に面した大きな民家を、建築家吉田桂二の設計でリニューアルし、情報発信と交流の拠点として今回オープンしたものです。当日はまさに式典の真っ最中ということで内部をゆっくり観察することはできませんでしたが、島、そして中心施設とハードの整備が整った今日、次は如何なるソフトを注入するか。今回のイベントは岡崎球子氏が率いる「オカザキラブ+地球分室」が企画を行いましたが、今後の展開が楽しみです。

 さて、式典、そして各種プログラムが延々と続く中、私は西港の渡船場に移動し、家族で釣りを楽しみました。カサゴ、セイゴ、チンタと小物ながら多種が釣れ(実は同行のH君の手柄)、楽しい1日を過ごすことができました。



 参考  弁天海港佐久島  nabeさんのホームページ



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