(2001. 9. 8) 住まち探検隊とともに

1年振りに、長湫南部の自然地形型住宅地を歩いてきました。この3月にスタートした
中部住まい・まちづくり探検隊の活動の一環として企画されたもので、第2回フォーラム(7/30)の際に行った
「自然地形型住宅地予定地を探検しよう!」という呼びかけに応えて集まったメンバーなど10数名で訪れたものです。
まずは組合事務所に集合して最近の状況について話を伺いました。自然地形型住宅地は住民アンケート等の結果を受け、6街区2.7haの地区としてまとめられていました。6街区はさらに
「現況の植生や地形を概ね残した住宅地」である
エコ1、
「現況の植生のない斜面造成された住宅地」である
エコ2、
「現況の植生のない平面造成された住宅地」である
エコ3の3地区に区分されています。この中ではエコ1が一番小さく、エコ3が一番面積が大きい。
「エコ3ではいったいどこが自然地形型住宅地なのか」といった声も上がりましたが、区画整理としての事業採算性や住民アンケートの結果
(自然地形型住宅地に換地希望とした地権者が2.5ha。なおエコ住宅地区内の地権者は大半が地区外への換地を希望しているとのこと)を踏まえ設定されたもので、急峻な地形の前では、現況植生から取ったポット苗等を準備して、植生再生に努めるとともに、分筆制限や後退制限、緑地確保の規定等を設けて、再生型の自然地形型住宅地の形成を求めることにしたようです。
翌日からは、センター地区や産業地区とともに、申し出換地の説明会が行われるということで、資料とビデオを見せていただきましたが、他の地区は企業の出店意向などが記載されているのに対して、エコ住宅地区は分筆制限等に関する記述が多く、少し不公平な感じがしました。組合の役員の方々の話を伺っていると、なんとかその里山環境を残したいという思いが伝わってくるのに、これら資料ではそれらが十分表現されておらず、そうした点でもやや残念な感じがします。自然を残すということを、区画整理という事業の中でハードとして実現しようと努力していることはよくわかるのですが、
実現のためにはもっとソフトな仕掛けや取り組みが必要ではないでしょうか。一緒に訪問した方の中からも、
周辺の大学や地区内のゴジカラ村等と連携した取り組みが有効ではないかという提言がありましたが、本当にそのとおりだと思います。センター地区等では企業意向調査まで行われているのに、エコ住宅地について(一般住宅地についてはもっと心配でもあるのですが)は、購入者である住み手に対するPRや関心を持ってもらうための取り組みが不足していると感じます。この点で、今後とも安住の会や住まち探検隊と連携していくことができればいいのですが。
さて、現地は前回と逆に、卯塚墓園の方から入っていきました。林の中は秋の気配で、涼しい風が吹き過ぎ、足下にはここかしこに様々なキノコが生えています。目通り50cm以上の木にはテープが巻かれ、立木調査が行われていました。木にはコナラが多く、竹もけっこう混ざっています。しかし手入れは全くされていないため、足下には落ち葉が層をなし、低い灌木が行く手を遮ります。道なき道を子供連れで歩くにはけっこうきつい上り下りがあり、じわっと汗も滲んできた頃、ようやく林を抜け出ました。

自然地形型住宅地の全景(南面から) |
造成地の南側に残るきれいな竹林 |

縁辺部の緑地は残されるというが・・・ |

そこは一面の造成地で、工事が既にここまで進んでいたのかと驚かされました。かつては田が広がっていたはずの土地ですが、レベル的にはかなり高く盛り土をするということで、これからもどんどん土を入れるとのことでした。この造成地を歩き、道路を横断して、今度は区画整理の西側の地区を歩きます。このあたりはまだ工事が始まっておらず、サトイモやナスが植えられた畑や栗の木がたわわに実をぶら下げ、高齢の夫婦が畑仕事をしている光景はなんとも懐かしい気がします。気持ちのいい農道を歩きしばらく行くと、ゴジカラ村の入り口にたどり着き、ここから北側はまた赤茶けた造成地が広がっていました。周りには緑地が張り付いてはいるのですが、やはり少し寂しい気がします。
一回りして改めて全員で意見交換をしました。自然が思いの外なくなることを惜しむ声も多く聞かれましたが、組合の方たちのこれまでの努力に対しては素直に評価するとともに、今後の自然の保全と再生に向けて、是非とも協力をしていきたいという気持ちが確認され、途中は少し心配したものの、結果的にはよい交流ができたのではないかと思います。

(2000. 7.19) 歩くことが楽しくなる"まち"

名古屋市の東隣、長久手町は土地区画整理事業で町内を整備し、名古屋への通勤人口を受け入れ成長してきた町です。しかしバブルがはじけて以降、さすがに長久手も新しい区画整理に着手するのは困難かと思っていたら、今度は東名の南側、名古屋市・日進市との境に残る100haほどの山と水田を開いて、長湫南部土地区画整理事業が平成10年11月に組合設立され、事業認可がされていました。先日見学した、自然と一体となった福祉施設・幼稚園・福祉専門学校・ケアハウスが整備されているゴジカラ村を含むエリアです。域内の居住者は7〜8戸といいますから、ほとんど林と水田ばかり。今の時代にはもったいないような計画ですが、立地的には確かに地下鉄駅まで車で5〜10分と至近。東名の騒音が少し気になりますが(それも計画上は、産業用地として計画されています)、新市街地形成型区画整理事業としては、最高の条件かもしれません。先日
ゴジカラ村の見学をした際に、理事長の吉田さんからこの区画整理の一部に
自然地形型住宅地を計画しているという話を伺い、今回おじゃまして、現地を歩いてきました。
「歩くことが楽しくなる"まち"」というのがこの区画整理事業のキャッチフレーズ。全体的に歩行者ネットワークに配慮した計画づくりがなされた中の北東、東名高速と産業地区・墓園を挟んだ斜面一帯、約6haの区域に
自然地形型住宅地が計画されています。現在は平成13年度末に向けて換地設計を進めているところですが、そのために行った住民アンケートで、この自然地形型住宅地内への換地を希望した地権者がわずか14名・2haにすぎなかったことが、この計画を進めようとする組合幹部の危機感をあおり、今回、安住の会主要メンバーとの懇談を実施する運びとなったものです。安住の会側からは、会長の曽田先生、田中さん、黒野さん、私が参加し、安住の会の活動状況、コーポラティブ住宅手法、木附の里、高嶺下地区の取り組み状況などを話させていただき、今やこうした自然と一体となった住宅地を求める都市居住者は増加しており、是非この自然地形型住宅地を当初計画のとおり実現してもらうよう訴えました。
意見交換を進めるうちに、アンケートで示した自然地形型住宅地に関する情報がほとんどプアな状況の中で、また区画整理は現地換地が原則とされる中で、14名もの人がこの地区への換地を希望したというのは、実はすごいことではないかと思えてきました。区域全体の保留地が約9.8ha予定されていますが、できれば急激な土地利用改変を進める保留地処分という手法でなく、現地権者が換地により土地を保有しつつ、ゆっくりとしたスピードで環境共生型の土地利用転換を進めたいという組合の方たちの気持ちはよくわかりました。是非仲間を広げて、
この自然地形型住宅地が計画どおり実現すると良いなと思います。
その後、副理事長の水野さんの案内で現地を歩いてきました。コナラにモチノキ、スギ、マツが混成する中に、竹林が明るい雰囲気を醸した林は、歩くほどに急な斜面となり、足下には下草が生い茂り、放置され尽くした印象です。しかし10分もしないうちに斜面頂部にたどりつく。手入れされた墓園をしばらく歩いてもう一度入った林には、直径60cm程度の立派な木々が何本も空に向かって梢を伸ばし、涼しい風が流れていきました。
野鳥の声と風に誘われるハンモックの眠り。この林を愛する人がここを生活の場とすれば、きっと気持ちの良い暮らしが展開されるだろうと思います。