三河山間 特公賃住宅

同じ 三河山間の住まいづくり へもどうぞ
 足助町の住まいづくり
 稲武町の住まいづくり
 愛知県の東北部、岐阜県、静岡県そして長野県に接する山間部を三河山間部といいます。愛知県というと名古屋を代表とする三大都市圏の一つという感が強いですが、三河山間部は一転、全国で一番人口の少ない村「富山村」に代表されるような過疎地域となっています。近年、この地域で定住促進、U・Jターン呼び込みといった観点からの特定公共賃貸住宅(注)の供給が積極的になされています。そこで、これらのうち、私が訪問したもののいくつかを紹介します。
旭町
笹戸住宅
設楽町
折地団地
作手村
城山ハイツ
東栄町
中設楽住宅花祭り金紫平住宅
日本一のミニ村 富山村の公的住宅
豊根村
津川ハイツ

(注)特定公共(優良)賃貸住宅「特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律」が平成5年に制定されました。これは、中堅所得者向けの適正規模の優良な賃貸住宅が不足している状況に鑑み、一定の基準に適合する民間賃貸住宅に対し、建設費の補助と一定年限の家賃補助を行うものです。しかし、こうした賃貸住宅の供給が民間では十分に行われていない場合に、補完的に自治体が事業主体となって建設をすることができ、これが特定公共賃貸住宅です。従来の公営住宅の入居者の収入基準が全世帯の収入の下から25%までの低所得階層を対象としているのに対し、特定優良賃貸住宅及び特定公共賃貸住宅は下から25%から最大80%(地方公共団体の裁量により)までと、ほとんど全ての中間所得階層の世帯が入居できるようになっています。ちなみに国の補助率は、公営住宅が建設費の1/2に対し、特定公共賃貸住宅は建設費の1/3、特定優良賃貸住宅は共同施設整備費の1/3となっています。
(注)単独住宅公営住宅や特定公共賃貸住宅などの国の法制度に則り補助を得て管理されている住宅以外の、市町村が全くの自主財源で建設管理をしている住宅。収入制限等の制約がないため、教職員などの中高収入者向けの住宅として建設されている例が多い。



旭町 笹戸住宅

(97/01/19)
 旭町は、愛知県の北部、豊田市の東北に位置する人口3,800人程度の山間部の小さな町です。他の過疎地域同様、人口減少が続いていますが、特に豊田市に車で30分程度の距離にあることから、世帯分離による別居や都市型生活へのあこがれ等から、若年層の町外流出、「逆通勤」といった現象が現れてきています。そこで町では、平成7年度から特公賃住宅「笹戸団地」の建設を進めていましたが、’96年12月に第1期の住宅が完成しましたので見学に行って来ました。
 場所は、町内では最も西(豊田市)寄りの、笹戸温泉という小さな温泉地の一画で、通りから200mほど南へ入ったところにある町有地で、北側には地区の集会所が隣接しています。
 団地は木造戸建て9戸で平成7年度着手2戸、平成8年度着手3戸、平成9年度4戸と少しづつ建設する計画としており、今回は平成7年度着工分の2戸が完成したものです。
 住宅は木造2階建て3LDK、床面積82.4m2の小さなもので、1階に和室1部屋とLDK、2階に洋室2部屋の構成となっています。クリーム色のサイディングに瓦屋根を乗せて、若い人を引きつけようと都会的な雰囲気づくりに努めたようですが、請け負った施工業者が木材屋でもあったため、地元産材も積極的に使用したということでした(積算は経費の関係から外材で見積もった部分にも施工者の好意等もあり地元材が使われているそうです)。「旭町で普段造っている住宅はどうですか?」と施工者に聞いたら「こんなちまちましたものは普段は作らないわなあ」と一蹴されてしまいました。
 室内も対面カウンター式のDK、出窓の多用、クロス張りと、明るく若者好みとなっています。町の担当者のKさん自身が現在豊田市から逆通勤していることもあり、自分の住宅のつもりで心を砕いてきたようで、また今回の建設の反省を第2期、第3期に生かしていこうという腹積もりもあり、全体が完成するのが楽しみです。
 家賃は契約家賃が50,000で設定され(収入に応じ最大25,000円の減額あり)、1月17日から2月17日まで募集、入居は4月1日からの予定です。
 また新聞によれば、この団地の後には、さらに4戸建設する計画があるということで、まずは今回の募集が順調にいってくれることを祈るのみですが、今後の成り行きには大いに興味があるところです。

(97/02/28)
 旭町の方が見えたので応募状況を聞いたところ、2戸の募集に対し6世帯の応募があったそうです。4月1日入居に向け、今後、選考等の事務を進める予定です。とりあえず空き家とならずに良かった。なお、25日に団地の前を通ったので写真を撮ってきました。どうぞ確認ください(上に挿入)。

(97/11/25)
 第2期工事が完成しました。これで全部で5戸。さらに今年度事業として4戸を予定しており、来年の秋には計9戸の団地となる予定です。今年度の3戸も既に募集は終わっており、今回も4件の応募があり抽選で3戸が決定。無事5戸並んでお正月が迎えられそうです。ちなみに家賃等は前回と一緒です。
(上左) 北面から
 (下左) 東南面から
  (下中) 南面アップ
   (下右) 北玄関廻り



設楽町 折地団地

 平成8年度に完成した三河山間の特公賃住宅3団地のうちの3つめが、設楽町折地住宅です。作手村が鉄骨造、旭町が木造に対し、設楽町は鉄筋コンクリート造。町中ではけっしてめずらしくもない建物ですが、これらの地域ではRC造の建物すら公共施設以外ではめずらしい。特に若者のふるさと定住を目的とするからには、若年層に喜ばれるよう、少しでも都会的な雰囲気の住宅づくりをめざします。
 


作手村 城山ハイツ

(96/07/17)
作手村は人口約3500人の小さな村ですが、地理的には岡崎市、豊橋市という30万人級の都市からそれぞれ車で1時間程度と、他の山間部の町村に比べると比較的立地に恵まれた村です。それでも一山は超えて山道をスラロームしなくてはいけないので、毎日繰り返すとなるとけっこう大変です。この村で、現在、特定公共賃貸住宅の建設が進められています。
 村で担当しているのは、生活環境課のTさんという女性の方。課の名前が示すとおり、環境問題、例えばゴミの収集のことや水質騒音等の苦情処理、時には野犬駆除などが主な仕事で、もちろん事務職、この課に配属されるまでは総務課で庶務や市民課の窓口などをされていたそうで、住宅づくりという全く新しい仕事に戸惑いながらも、本当に熱心に取り組まれています。
 村では、これまでも過疎対策として、宅地分譲地の開発や村営住宅の建設等に取り組んできました。宅地分譲は村が事業主体として行ったもので、約30区画平均150坪くらい、坪約10万円で売り出し、現在約5区画の売れ残りがあるそうですが、けっこう岡崎などからの移住者が多く、比較的順調と評価しているようです。
 所々ポケットパークを配した緑道を中心に、デザインされた街路灯や見晴らしの良いロケーションなど、住宅開発地としてはけっこう質が高いと思います。
 また村の入り口に整備しているスポーツ施設地区にはペンション用地を3区画貸し出し、これも順調に借り手が見つかっている模様です。
 村営住宅については木造戸建てを7戸程度、10年ほど前に建設しましたが、これもけっこう人気があったということです。ゆったりとした中にフェンスに区切られることもなく戸建てが並ぶのは、見ていて気持ちがいい位です。また2年ほど前には村単独住宅として2DK4戸のS造を建設しましたが、これもすぐに借り手がついたようです。
 このように村内で賃貸住宅等を建設するとすぐに借り手がつくというのも、ひとえに村内に民間の賃貸アパートがないからで、村内の住宅産業はひとえに村が担っているというのが現状です。
 こうした状況ですから、今回の特公賃も村民の大きな期待の中で建築が進められているようで、建設をしているゼネコンの方の話によれば、建設現場に直接間取りなどを確かめに寄られる方もあったということでした。
 今回の建設にあたっては、もちろん役場内に建築技術者などいるはずもありませんので、設計事務所の選定にあたって、簡単な指名プロポーザルコンペを実施し、2者の激烈な競争の末、所長が作手村内在住という小林清文建築設計室に決まりました。デザインはS造2階建ての2階廊下をデッキ風に象徴的に使ったという程度のものですが、他の案に比べるとデザイン的にシャープな割に堅実で現実的な点が評価されたのかなと思いました。
 何より所長が村内在住というのがいいですね。村内唯一の一級建築士と言われていましたが、こうした方を大事にすることは−馴れ合いとかには気をつけなければいけませんが−この程度の町村にとっては、総じて良いことだと思います。
 今後、家賃設定等については検討をしていく、ということですが、特定優良賃貸住宅(注)の目的の一つである適正規模の賃貸住宅供給という面では、建設をすること自体が大いに貢献している訳ですし、もとより住宅負担額の高騰などという事態もないわけですから、家賃補助というレベルより低いレベルで家賃設定=市場家賃がされるのだろうと思いますが、それはそれでいいと思います。
 こうした事例を見てみると、そろそろ特優賃も、賃貸住宅の建設促進と適正負担の住宅費というその2つの目的を、きちんと分けて制度化することを考えてみてもいいのではないか、そうした方向の1事例を示唆しているようにも思えてきます。

(97/01/10)
 作手村の特公賃住宅が完成し、さっそく見に行ってきました。昨年の年末29日に、地元の中日新聞に募集のことが掲載されたので、大いに期待を持ってでかけました。場所は作手村の中心部、役場から東に見える山並みの麓、1km位の所に見えます(ページ頭の画像参照)。
 田んぼが尽きる山際の小高い平地に立地する鉄骨造2階建ての住宅は、2つの階段をはさんで、両側に床面積68m2の3DKが4戸、階段の間に59m2の2DKが6戸並びます。周囲を落葉樹で囲ったということですが、今の時期はまだ葉も落ちて建物の外観が良くみえます。グレーの外壁に黒の手すりや外灯等の外観は比較的地味ながら、都会的な雰囲気でプレハブほど軽くない、しっかりした存在感があり、住戸の間の階段と傾斜屋根が形作る空間はきれいです。また全体的にモノトーンの中でインターロッキングの煉瓦色が目立ちます。
 室内は和室が1室、後は洋室の若い世帯に配慮した間取りで、玄関から廊下周りの空間やDKが広々としています。またDKから眺める山並み・田んぼ、そして村の中心部が見える景色はとても気持ちがいい。床はフローリング、壁はクロス張りで、村営住宅にしては高級感を出しています。また給湯は深夜電力利用の電気温水器で3点給湯をしています。この給湯器がDKにでんと座っているのはなにもない現段階ではちょっと目障りでしたが、全般的には大変よく出来ていますし、先日実施した議員さんの視察でも大変好評だったということです。
 家賃は、契約家賃(最終家賃)が2DK40,000円、3DK50,000円で、収入に応じ、それぞれ当初最大10,000円減額されます(その後、年5%づつアップ)。ちなみに既設の村営住宅が家賃15,000円から20,000円位、またUターン者専用で増築期間までの一時入居用村単独住宅というのもあり、これの家賃は17,000円ということで、これらとの比較で家賃を決定したそうで、やや高めかもしれませんが、広さや設備、新しいことなどを考えあわせれば妥当なところかもしれません。
 新聞に掲載されて以降、県外も含めて多くの問い合わせがあり、おじゃました日が募集の初日だったんですが、その午前中だけで4件の申し込みがあったということですので、10戸はなんとか埋まるかと思います。村内にはハウス園芸等に就農し村外から通勤する世帯が3世帯ほどもある他、子供夫婦が近隣の市に出ていった世帯などのUターン入居などを期待していたようですが、県外からの問い合わせなどは、嬉しい悲鳴でもあり、逆にどんな方なんだろうと不安でもあるようでした。申し込みは20日(月)まで。その後、選考会による入居者選考を経て、2月1日には入居できるようになります。
 入居が始まれば、Tさんもやっと一息ですね。次はゴミ処理場の建設の仕事が始まると気を引き締めていましたが、女性にしてこのバイタリティは、ほんと感服します。
 また村では村の中央を通る国道の拡幅に向けて、建物移転等が始まっており、これに併せ移転先の住宅地の整備や国道拡幅後の街並み整備の仕事がこれから始まるということで、まだまだ村にとってこれからが大変な時期であり、また変わっていくことでしょう。

(97/2/6)
 もう少し前になりますが、作手村城山住宅の募集が終わりました。今回、全部で10戸の募集に対し、10世帯の方から申し込みがあり、役場内に設置してある入居者選定委員会(村長、議員等で構成)で選定した結果、一部、今後収入の上昇の見込みのない高齢の低所得者の方について、公営住宅を紹介する方が適切だろうという判断から選定からはずし、結局、当初の入居者は9名、1部屋空き室ということで、2月1日から入居が始まっています。なお、その1部屋についても、これから4月までの間には埋まるのでないかと話していました。


東栄町 中設楽住宅花祭り金紫平住宅

(97/08/27)
 平成9年度には昨年度から引き続きの旭町に加え、設楽町よりさらに山あいの東栄町と豊根村で特公賃住宅の建設が行われています。東栄町では世帯向け10戸に加え、単身者向け10戸の計20戸が建設されています。単純に考えると入居者があるのだろうか、と思いますが、町が誘致した企業からの要請に応えて建設しているとのことで、それなりの成算があるようです。

(98/ 2/25)
 東栄町の特公賃住宅が完成したので行って来ました。RC造2階建ての世帯向け住棟(10戸)と単身者向け住棟(10戸)の2棟があり、外装塗装色をライトグリーンとホワイトに塗り分け、屋根には瓦を乗せるなど、山あいにやさしい印象です。世帯向けは3LDK約75m2。広いリビングに対面式キッチンが顔を向けています。一方、単身者向けは1DKの約30m2。単身者にしてはやや豪華なキッチンはオール電化にし、連なって小さな洋間と和室が南面し並んでいます。
 三河山間の町村の中では初めての若年単身向けの住戸ですが、抽選となるなど応募は好調でした。また世帯向けは、訪問した時点ではまだ町内企業の来年度採用が正式に決まっていないということでしたが、結果的には満室となる見込みだそうです。ちなみにどういう世帯が入るかによって、来年の小学校が複式になるか単式になるか(現行複式)、それによっては教室の利用形態を大きくいじる必要があると、校長先生が心配していたのが印象的でした。
 「三河山間地域のエリアに県営住宅を建設したらどうか」という県議会での質問もあって、これら地域の住宅需要に対する関心が高まっているのですが、膨大な量でなければ、新築の賃貸住宅に対する需要はそこそこ根強いという気がします。問題は家賃。この住宅の家賃は、世帯向けが56,000円、単身向けが35,000円で当初は所得に応じ減額措置を講じていますが、建設費から考えれば相当な持ち出しとなるのだと思われます。実際には、国・県の補助に加え、起債と過疎地域の交付税措置により、なんとか成立しているというのが実態でしょう。
 世帯向け住棟    単身者向け住棟 

 また、公営住宅法の改正により過疎地域では公営住宅に若年単身の入居が可能となったことから、今後、単身向けをどうするかといったことや、今回はRC造でしたが、この地域の産業構造も勘案した間伐材の活用や木造の採用等、地域の特色を生かした構造・構法の選択等、山間地域の特公賃住宅建設にあたって今後検討すべき事項は多いと感じています。
 しかしまずは東栄町初の特公賃住宅の完成を町の方ともども大いに喜ぶとともに、地域振興に向けた礎となることを期待したいと思っています。

花祭り

(98/ 3/ 7)
 東栄町を中心に、豊根村、津具村の奥三河地方で有名な祭りが無形文化財「花祭り」。山あいの小さな部落の小さな神社の1画で「ヘーホヘ、ヘホヘ」という囃子歌が延々と続く中、大人から子供まで、様々なグループによる舞いが繰り返され、クライマックスには複数の鬼がまさかりを振りかざし、お湯を跳ね上げつつ舞い続ける。これが1晩、長い地区では30時間以上も延々続く。こんな祭りを見学してきました。真っ暗な深夜、2・3軒位しかないように見える本当に小さな布川という部落の急な石段を下った先の社務所の1画の土間で、ざっと100名ほどが顔を寄せ合いのぞき見る中で、舞いは延々と続けられていました。結局、夜が白む6時近くまで見ていましたが、ただただ独特のリズムの唄に乗って続く舞いは、その鬼の姿以上に見る者を引きつけるものがありました。是非機会があれば皆様も一度は見られることをおすすめします。
子供の舞い     鬼の舞い

金紫平住宅

(2000/12/18)
 東栄町でも住宅マスタープランの策定が進められている。その委員会のついでに、4月に入居開始した2つ目の特公賃住宅「町営・金紫住宅」と現在建設中の「県営・下田住宅」を見てきました。名前は違っても、町が開発する金紫平地区に並んで建設される住宅で、町営の特公賃住宅が10戸、県営が10戸。県は従来こうした山間地域では県営住宅の建設を行ってこなかったのですが、最近の町村の積極的な動きや要請に応えて、町村の取り組みを前提に公営住宅の建設を行うことに方針転換をしました。その第1号として建設されているのが、県営下田住宅。ちなみに、稲武町でも県営・夏焼住宅が建設されており、今回そちらも訪れたのですが、残念ながらフィルム切れで撮影することができませんでした。

県営下田住宅

町営金紫住宅

 ところで東栄町の下田住宅は、町営共々、地元の強い要請に応えて、木造で建設されています。これは県営住宅としては初めての出来事。稲武町や設楽町、東栄町では、これまで、若者向けの都会的な賃貸マンションが必要という認識で、RCや鉄骨造で建設されてきましたが(旭町の事例は豊田への通勤圏内ということでやや状況が違う)、今回の試みはどう評価されるのでしょうか。町営の特公賃はベージュ系の可愛い色で塗られ、10戸のところに13件の申込があり抽選となったそうですが、公営住宅ではどうでしょうか。収入制限がある点が少し問題にあるかもしれません。グレーの外壁もやや地味で少し心配です。


日本一のミニ村 富山村の公的住宅

(97/08/27)
 愛知県に日本で一番人口の少ない村があることをご存じですか。平成7年10月1日現在で198人。富山村は、長野県、静岡県との県境にある天竜川・佐久間ダム湖に沿った小さな村です。部落数が5つ、そのいずれもが川沿いの急斜面にへばりつくように立地し、平地がほとんどない。村には村営の床屋に喫茶店、よろずや、村長宅が経営する民宿に助役が経営する旅館、それに最近はキャンプ場と温泉ができた。それでも名古屋からは3時間半、最近村が静岡県側を通るJR飯田線の駅を改修しましたが、少しでも便利になったとはお世辞にも言えない。とにかく人もいない、何もない村です。
 この村で、昭和59年頃から、毎年1〜3戸程度づつ、単独村営住宅(注)を建設してきています。その数、平成8年度末で24戸。最初につくった住宅の幾つかは老朽化して空き家になっているものもあるようですが、世帯数80余りの村では相当の量と言えます。さらに平成9年度には2戸、10年度も引き続き2戸程度建設したいということで、私自身、生まれて初めて、この山奥の村に行って来ました。
 建設中の団地の様子は写真のとおりですが、既に1戸建て5戸と単身者用4戸は完成し、現在1戸の建設中。さらに来年度2戸をここに建設する予定です。入居者の多くがけっこう村外から来ているそうで、人口確保という観点からは一定の成果を上げているようです。ちなみに入居者の就職先は、役場、学校、森林組合、建設会社だそうで、この村の経済の実態が伺い知れます。
  
 富山村ホームページへ


豊根村 津川ハイツ

(98/03/20)
 豊根村は、愛知県最奥の富山村の手前に位置する人口1,500人程度の小さな村です。しかし愛知県の最高峰茶臼山(標高1,415m)の山頂付近に県内唯一のスキー場を抱え、また近年町営の温泉施設「湯〜らんどパルとよね」が整備され、四季を通じて観光客が多く活況を呈しています。こうした村で、昨年度末から、単身者用住宅8戸の建設が進められてきましたが、ようやく完成しました。
 構造は鉄骨造2階建て、真ん中に階段を挟んで、各階4戸がお互いの住戸間に押入を挟みプライバシーに配慮した配置となっています。住戸規模は1K 38.25m2。こじんまりとしたキッチンに広々とした板張りの洋室(10畳大位でしょう)が南面する単純な間取りで、和室などの余計なしつらいはない分、若者には都会的で魅力的な間取りとなっています。
 南面
 この1月に8戸募集したところ、応募後の辞退等の経過もあり、ちょうど8名の方の入居が決まっています(うち女性2名)。その多くはスキー場を経営する(財)茶臼山高原協会や国民休暇村等に勤務する若者で、村外からの者が大半を占め、村内の者も村外出身で今まで村営住宅等を入居されていた方がほとんどです。特定公共賃貸住宅は入居階層が公営住宅階層以上ということで収入基準に最低の制限がありますが、「将来収入の上昇が見込まれる者を含む」という救済措置があり、今回、ほとんどの者はこの条項を活用し、入居を認めています。これにより将来収入が上昇しても安心して入居していけるというメリットもありますが、過疎地域では公営住宅法の改正により若年単身の入居が認められるようになったこと、またこの住宅に関しては村が入居資格に35歳以下という条件を付したこと等を考え合わすと、今後は公営住宅により建設してもいいのかなと思います。
 
北東面                北西面
 この住宅の北側にはまだ同程度規模の敷地が残っており、来年度より引き続き、世帯向けの建設を予定しているところですが、温泉やスキー場開発等と相まって、この住宅が過疎村振興に何らかの役割を果たすことができればいいなあと切に思います。