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 田原町の住まいづくり 


 トヨタ自動車を誘致し、急成長を遂げつつある町、田原町でも「HOPE計画」に続いて、二度目の住宅マスタープランづくりが進められています。人口急増に応えるべく、渥美郡土地開発公社による宅地開発事業や土地区画整理事業などを郊外部で積極的に展開し、先頃はシーサイド光崎という団地の分譲も県住宅供給公社により始められました。一時に較べれば人口の増加も一段落を迎えたとはいえ、渥美半島の渥美町、赤羽根町と、東三河の中心都市・豊橋市との間に位置し、これらの町からの流入も依然高く、温暖な気候や変化に富む景観、祭りや城跡などの歴史と文化なども加え、まだまだ魅力に満ちた町といえると思います。しかしこうした積極的でバランスのとれた住宅宅地施策も、ふと気がつけば、長期に渡り模索しつつ推進してきた再開発事業がはなとき通りを除いては実を結ぶ前に、駅前の商店街がすっかり空洞化。閉められた店舗や空き家、駐車場に転用された空き地が目立ち、また高齢化も町内の他の地区に比して、相当な勢いで進んでしまっていました。周囲の良質な住宅宅地供給がマッチポンプとなって、既成市街地の空洞化を進展させていたのです。
 町では、高齢化対策にも早くから取り組み、町立では全国一早く、福祉専門学校を設立するとともに、シルバーハウジング住宅も11年度末を目指し建築中ではありますが、こうした取り組みに加え、高齢化の進展した中心市街地に的を絞った施策の立ち上げを求めようというのが、今回の住宅マスタープランの主要テーマでしょうか。田原の町を歩きつつ、今後の田原の住まいづくりの方向について思いついたことを書いてみたいと思います。

(98/ 1/ 6) 「はなとき通りのまちづくり」から移動、加筆修正。
 97年末、町の方の案内で町内をくまなく見学してきました。町の北側にそびえる田原町のシンボル・蔵王山から町を一望した後、5・6年前に完成した区画整理地区や現在開発中の県住宅供給公社の新住宅地、トヨタを始めとする埋め立て企業団地、社宅団地などを見学し、また渡辺崋山を顕彰する田原町博物館やまつり会館などを案内いただいたのですが、特にまつり会館では立派なからくり人形のついた山車田原凧などを見せてもらいました。いくつかの山車が並ぶ田原祭りは、駅前の中心市街地、本町、萱町、新町が中心となり行われるのですが、最近は特に深刻な高齢化と人口減少に悩んでいます。それでもこの時期だけ帰ってくる世帯などによって、なんとか支えられているようですが、逆にこの地域への愛着と誇りも強いものがあるようです。
 さて、街の中を歩くと多くの空き家と駐車場になった空き地が目に付きます。この地区には寺下通りという立派なお寺さんがいくつか並ぶ通りもあり、また少し離れたお城跡の近辺には生垣が美しい武家屋敷地区もあって、町もこれらの地区を結んでウォーキングトレイル事業等による景観整備や辻広場(ポケットパーク)整備などにも取り組んでいるのですが、こうしたインフラ整備以上に、生活と暮らしを支える地域整備(住まいとまちづくり)が今後重要になってくるように感じました。多分、区画整理やシルバーハウジング等の具体のプロジェクトと並んで、これらに乗り切れない個々個別の動きをフォローする仕組みがいるのだろうと思います。既に、公立では珍しい町立福祉専門学校が開校されており、また住民参加によるまちづくり委員会ができるなど、町自身でも様々な動きが進められており、今後の進展が大いに期待されます。
 最後に、田原凧ですが、最近子供のために初凧を作った方の話によると、凧の作成から絵を描き、さらには凧を揚げてもらって最後にその凧をもらって、お礼に5万円を置いてきたということで、もちろんこれを趣味で請け負う方がみえるということですが、これは大いに安いとうらやましく思いました。


(98/11/20)
 久しぶりに田原の町を巡ってきました。特に今回は午前中時間が空いてしまったので、レンタサイクルでデジカメ片手にけっこうなエリアを廻ってきましたが、それは「田原のまちなみ」で紹介することとし、こちらでは中心市街地に絞って紹介します。
駅前通りに面する空家駐車場と老朽家屋
 駅前に空き家や空き地が多いというのは、上の画像で分かるでしょうか。もともとこの地域は花街で、その名残りを残した建物もいくつかありますし、今も料亭や飲食店を営業している店も多い。反面、日用品店等は少なく、喫茶店等もとんと見かけませんでした。つまり溜まりになるような場所がない。当日の夜、町の方と話をした際に、「退職したら大判焼き屋でもやるか」という話がありましたが、現実問題としてこうした地域のサロンとなる施設はなんとしても欲しいところです(ちなみにタレントの光浦靖子はこの町の出身。「光浦靖子の大判焼き屋」といえば流行るでしょうか)
寺下通り角地に建つ民家典型的な長屋再開発事業用地の向こうに建つ蔵
 老朽化した家屋は、耐震面でのチェックや、犯罪面も含めた安全性の確保と向上への配慮も必要だと感じましたが、一方で長屋や町屋(木造3階建て民家もあり)、蔵などで見るべきレベルの家屋もいくつか存在しています。これらの多くは一般の住宅等として利用されていますが、中には町屋をそのまま生かした飲食店(卯立に飾られた鏝絵が美しい)などもあり、再開発事業を進める一方で、こうした既存の建物を再活用するような展開が模索できないでしょうか。(98/ 1/ 6) の中でも書いたのですが、核施設やインフラ施設の整備は進めるとして、そこからはずれる多くのエリアで、その土地・建物活用と生活支援を行う仕組みと組織づくりが是非検討できるといいなと思います。中心市街地活性化法のTMOになぞらえて、生活支援をするLMO (Living Management Organization)の設立を目指したい。県の住宅供給公社等がこの点で役割を果たすことはできないかと思います。


(98/12/ 5)
 早稲田大学の佐藤滋教授の「地域内循環居住を視野に入れた既成市街地のまちづくり」と題する講演会を聴いてきました。地域を広義の地域=町域全域と捉えれば、バランスのとれた住宅宅地施策は、既成市街地の空洞化を招いただけでなく、さらに積極的な地域居住戦略に発展・展開することができるように思いました。そのためにも、まずは既成市街地内の世帯の分裂と住み替えの居住実態と将来意向に対する調査を行う必要があります。そして地域居住を支えるものが何なのか、又は誰なのか、を見極めることが、今後の居住施策を構想する上で、重要な視点の一つになると思います。

(99/ 6/26)
 建築学会住宅部会研究の一環として、田原町を歩いてきました。 「住宅施策を考える−田原町見学記」 をごらんください。


 参考  田原町ホームページ「JANG DALAR LING! たはら」
もごらんください。



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