
豊川市高齢者福祉施策見学

豊川市営諏訪西住宅
(97/04/05)
4月5日に、日本建築学会都市計画委員会の研修で、愛知県豊川市の高齢者福祉関連の諸施設の見学に行って来ました。
まず最初は昨年の12月に完成したJR飯田線・豊川駅の自由通路の見学でした・が、あいにくの雨の中にも関わらず電車内に傘を忘れてしまった私は、見学の一行に会うなり別れて傘を取りに再度電車の人となったのでした。実はこの自由通路、私が当時担当していた「街並・まちづくり総合支援事業」の補助を入れて建設されたもので、また同時に県の補助制度である「人にやさしい街づくり補助」によりトイレ・エレベーター等の補助も入っているものです。市の東西を分断する形で通過する飯田線の駅の東西をつなぎ、西の豊川稲荷と東の三明寺そして区画整理事業地区を連絡する通路として大いに期待され、今回完成をしました。従来の駅舎は昭和初期建設のかなり歴史のあるもので、今回豊川稲荷の門前に建設される駅舎としてはそのデザインについて色々と議論があったようですが、豊川市民が選択したデザインとしてこの赤いアーチの斬新なデザインとなりましたがいかがでしょうか。ちなみに古い駅舎についてこちらをごらんください。
「NABEさんのホームページ」 なお、デザインとしては豊川に掛かる当古橋をモチーフに、赤い色は豊川稲荷の鳥居を意識しているとのことです。
さてようやく傘を確保してタクシーで、豊川市ゆうあいの里「ふれあいセンター」に向かいます。「ゆうあいの里」とは、豊川市が市の北西部に、福祉と交流の拠点として福祉関連施設等を複合的に整備している地区で、「豊川市ふれあいセンター」はその中核施設です。「ゆうあいの里」にはこの「ふれあいセンター」の他、養護老人ホーム「平尾荘」と屋外公園として「四季の森」「市民健康広場」が既に整備されているほか、県の特別養護老人ホームや民間公益法人による老人保健施設の建設が予定されているほか、精神薄弱者更生施設、心身障害者職業訓練所、心身障害者簡易通園施設の建設も計画されています。このなかでも「ふれあいセンター」はその中心として、デイサービスセンターを始め、在宅介護支援センター、老人福祉センター、高齢者生きがい活動施設、市民交流センターで構成される総合福祉施設となっています。おじゃましたのは土曜日の午後でしたが、玄関をくぐった先の自然光の落ちる明るいホールには、大変多くの人でごったがえしていました。なんでも昨年6月のオープン以来、3月末までの10ヶ月間で22万5千人の人が来場したとのことです。ここの目玉はぬくぬく湯と名付けた浴場で、来場者の55%、オープン以来12万の人が利用したということで、使用料は一般で360円ですが、市内及び近傍の市・町在住の60歳以上の高齢者は無料、しかも隣接するさわやかルーム、くつろぎルームにはマッサージ機もあるなど、これなら健康ランドに行くよりいいかもしれない。ちなみに、銭湯業界との協定で一般の料金は若干高く、また営業時間は午後4時までとなっているそうです。
多目的ホールではちょうど心身障害の方が体を動かしていましたが、明るい中でやるのは気持ちよさそう。また在宅介護支援センターでは車椅子を始め、大人用おむつやその他の介護商品が展示され、また相談員の方が詰めていらっしゃいました。また2階の生きがい活動スペースには温室があり、ここでつくった花苗を淡水魚水族館「ぎょぎょランド」などで販売をしているそうです。また陶芸室などもあり、身障者や高齢者の方の陶芸教室なども行っています。このセンターのもうひとつの機能がデイサービスセンター。豊川市では、この後伺った市営諏訪西住宅、県営牛久保住宅にそれぞれ併設されているセンターと併せて3カ所のデイサービスセンターがあり、それぞれ15人の利用が可能。ここのデイサービスセンターはこの秋にもさらに10人の定員増を予定しており、また県営稲荷北住宅にもこれから隣接して建設する予定ですが、ゴールデンプランでは6カ所ということで、まだまだこれから、だそうです。デイサービスの施設としては、特殊浴室、普通浴室(といっても歩行して入れるようスロープがついています)の他、日常動作訓練室、休養室、食堂などがあり、ねたきりの老人の方などが週に1回送迎通所してくるということでした。
さて続いて、市営諏訪西住宅に向かいました。ここは県営に続いて豊川市内では2カ所目のシルバーハウジングプロジェクト住宅で先にも述べたようにデイサービスセンター併設となっています。まずは集会室・生活相談団らん室で市の建築課長の話を伺ったのですが、この建物も自然光を取り入れた気持ちの良い部屋でした。シルバーハウジングの入居資格は、市内在住の65歳以上の単身又は二人世帯で自立して生活ができる方で、室内に緊急通報システム等が設置してあるほか、LSAと言われる生活援助員が週に1回程度訪問し、生活の相談や安否などを気遣います。LSAといっても午前中はデイサービスの仕事がメインとなるので、午後の1時から3時位の間、各世帯を訪問し話し相手になる程度のことのようで、いざということがなければそれほど大変ということではないようです。また過去何度か緊急通報ということもあったようですが、建替による住替えの方が多いということもあり、けっこう近隣のコミュニティで発見されたり、助け合ったりしていることが多いそうです。
現在、豊川市では牛久保住宅に21戸、この諏訪西に10戸、さらにこの4月入居の稲荷北で10戸の計41戸のシルバーハウジング住宅がありますが、シルバーハウジングを始めるにあたって策定した計画によれば2000年には100戸は必要ということだそうで、しかし用地難ということもあり、市営としてはまだ次の計画ができていない。しかし現実に先着順名簿に7名の方が順番を待っているという状況もあり、市としてもなんとかしたい、という気持ちは強いということでした。
最後に、豊川海軍工廠跡の桜のトンネルをくぐりながら、雨の中を夜の交流会の場所へ向かったのですが、雨、桜、空襲に散った数多くの少女達、そして高齢者、そんな連想をしつつ歩いてきました。