都市・建築・読書メモ 2001

           書 リ ス ト  2001         
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 シエナ−夢見るゴシック都市
【書   名】シエナ
【副   題】夢見るゴシック都市
【筆   者】池上俊一
【出 版 社】中公新書
【ページ数】256P
【出 版 日】2001年11月25日
【価   格】860円+税
【書籍コード】ISBN4-12-101614-9 C1222 \860E

 著者の池上くんは高校の同級生である。当時から仙人と渾名されていたが、今では西洋中世史を専門とする東京大学助教授として活躍している。その彼の著書をふと書店で発見し、思わず購入してしまった。中世史の観点から書かれた本だが、都市計画的にも非常に興味深い。12世紀・13世紀という時代が全く指呼の間にあり、手に触れられる存在として現にある。そんな都市の姿は日本からはとても考えられない。わかりやすく愛情にあふれた良い本であると思う。

 から始まるトスカーナ地方、そしてシエナの描写は、その描写自体が美しい。池上くんはこんな文章を書ける人だったんだろうか。シエナの美しさが筆をどんどん進ませているように感じる。

これらのシエナの都市造りに関わる言葉にも中世から続く都市ならではの高い市民意識が伺われる。羨ましくもあるが長い伝統の結果であることを理解する必要がある。実に1309年の条例である。

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 犬も歩けば赤岡町
【書   名】犬も歩けば赤岡町
【副   題】赤岡探偵手帳
【発 行 所】赤岡町まちのホメ殺し隊
【企画・編集】若竹まちづくり研究所/梅原 真
【発 売 所】風土社
【ページ数】170P
【出 版 日】2001年11月15日
【価   格】1200円+税
【書籍コード】ISBN4-938894-48-3 C0036 \1200E

 林 丈二、藤森照信、梅原 真、南 伸坊、赤瀬川源平の各氏を団長に、町民が参加して行われた建築探偵の記録を収録した「赤岡不思議幻灯会」と、その後の町民や子供たちが行った探偵団や写真展、座談会等が収録された「幻灯会の放課後」の2部で構成されている。
 前半は、水切り瓦や塀の忍び返しといった建築意匠を始めとして、旭湯の看板や古い自働無販売機(?)などの不思議で懐かしい物、樋の先に置かれた石や階段の隙間を蟻の道に見なすなど何気なくも大いなる発見など、楽しい写真と短いコメントにあふれている。
 後半はこのイベントの感動と衝撃が持ち寄られた土佐弁丸出しの座談会などが面白い。例えば次の下り、

 最後に建築探偵をリードした4人の団長からの便りが載せられている。これがまた含蓄がある。

 最後に、「この本が売れれば、町内にある一軒の風呂屋(旭湯)が残る」そうです。1,200円という価格にしてはあっという間に読み終わってしまう本ですが(でも全編カラーなのでしょうがないとも思いますが)、みなさん是非協力してあげてください。

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 天下無双の建築学入門
【書   名】天下無双の建築学入門
【著   者】藤森 照信
【出 版 社】ちくま新書
【ページ数】237P
【出 版 日】2001年 9月20日
【価   格】720円+税
【書籍コード】ISBN4-480-05912-1 C0252 \720E

 「雑合としての建築学」(P236)。あとがきに書かれた言葉である。実に博識な藤森教授が、縄文の建築技術「磨製石器」や「しばる技術」から始まって、基礎・土台、柱、板、屋根と上り、また建材、戸、床、天井、照明、窓、はたまた廊下、台所、階段、便所、風呂、塀、庭、そしてついには風水、家相と至って、建築そのものまで、絶妙な筆致で書きに書き、述べに述べる。専門家のはずの私も知らない話が満載。あっという間に読める知的で面白い建築入門書。いや入門者にこんなことまで教えて欲しくない。実はディープな話がいっぱいです。

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 「千年住宅」を建てる
【書   名】「千年住宅」を建てる
【著   者】杉本 賢司
【出 版 社】ベスト新書
【ページ数】203P
【出 版 日】2001年 8月 1日
【価   格】680円+税
【書籍コード】ISBN4-584-12013-7 C0252 \680E

 大成建設・技術センター建築技術研究所先端技術開発室長の筆者が、「千年住宅」というテーマで、世界建築史や建築材料、構造技術、保存・メンテナンス技術等を解説する。基本的に一般向けの書なので、知識のオンパレードといった感じで、それなりには楽しめるが、深くはない。高耐久建築としての技術だけに終始せず、アメベロベッロ等の民家やブルーモスク等の世界遺産、また自身の経験に基づく、京都聖アグネス教会や法務省赤煉瓦館の保存の話など幅広く展開されるのは興味深い。技術的には次の箇所に関心を引かれた。

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 イタリア 都市と建築を読む
【書   名】イタリア 都市と建築を読む
【著   者】陣内 秀信
【出 版 社】講談社+α文庫
【ページ数】308P
【出 版 日】2001年 9月20日
【価   格】740円+税
【書籍コード】ISBN4-06-256548-X C0152 \740E (0)

 法政大学の陣内先生のイタリア物。といっても実は中公新書「都市のルネサンス−イタリア建築の現在」の復刊版。ヴェネチア、ボローニャ、チステルニーノの各都市編については当時(1978年刊)のまま収録してある。今まで陣内さんの業績や著作については関心はあったものの、一度も目を通したことがなかった。基本的にはイタリアの都市と建築の調査報告であり、ある意味思っていたとおりではあったが、意外に面白く読むことができた。何より、もう20年以上前の報告であるにも関わらず、全く古く感じないことに驚く。いくつか日本の都市の現況を思いつつメモをしていた。

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 「まち育て」を育む
【書   名】「まち育て」を育む
【副   題】対話と協働のデザイン
【著   者】延藤 安弘
【出 版 社】東京大学出版会
【ページ数】276P
【出 版 日】2001年 4月25日
【価   格】3200円+税
【書籍コード】ISBN4-13-061118-6 C3051 \3200E

 前作を読んでからだいぶ間が開いてしまった。延藤さんの著作は独特の表現・味わいがあり、時に読みこなすのにしんどい思いをする。それがなかなかこの本に手が出なかった理由。ただし本書は延藤さんのここ15年ほどに様々な雑誌等で発表された論文を集めたもので、色々な調子の文章がそろっており適度に変化がある。
 思うに、延藤さんの文章の特徴として、まず言葉遊びのように感じられる表現。例えば、次のような文章。

 好きな人には堪えられない表現なんだろうけど、正確に理解しようとすると何を言わんとしているのか(私には)わからなくなる。
 もう一つ特徴的なのは、「第1に・・・。第2に・・・。」と並列する表現である。これが必ずしもわかりやすくない。例えば次のような部分では、あえて(無理に)2つづつ3つにグルーピングしている印象を受ける。

 分類分けの必然性が不明確で、言葉遊びにつきあわされている感じを抱く。

 ところで本書では、国内でのまちづくり事例の他、オランダやデンマークのコレクティブ・ハウジングの事例をとりあげた「高齢社会における住まい方の創造」(P115〜)や、ロンドンのコベン・ガーデンとおダム・プロジェクトの再開発事例を紹介する「家としての[まち]、町としての[いえ]」(P179〜)が納められている。特に後者は自然にその事例が紹介されており非常に読みやすくわかりやすい。
 しかし何より延藤さんのわかりやすさ、親しみやすさは、様々なまちづくり体験の中から抽出された理念を表現するときに発揮される。これは言葉遊びに近く思うかもしれないが、対比的に、またメタファ等を駆使して、明確に定義づけられる。例えば次のような部分には大いに同感するし、心を動かされる。

 なんだかんだ言っても延藤さんの言動には共鳴する部分が多い。しかし理想的・理念的な表現と現実社会との乖離に対しては注意深くあらねばならないと思ってもいる。いずれにせよ、これからも目が離せない。

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 何をめざして生きるんや
【書   名】何をめざして生きるんや
【副   題】人が変わればまちが変わる
【著   者】延藤 安弘
【出 版 社】プレジデント社
【ページ数】269P
【出 版 日】2001年 5月30日
【価   格】1500円+税
【書籍コード】ISBN4-8334-9070-6 C0036 \1500E

 あとがきに「NPO(千葉まちづくりサポートセンター)の経営・存続危機を脱出する一環として」(P268)として出版したとある。プレジデント社という出版社やタイトルを見てもわかるとおり、まちづくりの理論的書というよりまちづくりに関心を寄せる人を増やし、参加する人を育てることを目的とした本だ。延藤氏の幻灯会といえばその語りで有名だが、その語りを綴ってできたという。親しみやすいとも言えるが、関西弁がここまで使われるとややうっとおしい感もしないではない。というか、私自身、少し延藤節に飽きたというか、辟易とした感じを抱き始めているかもしれない。すなわち全編、延藤節である。
 もちろんさすがというか心に残るフレーズが数多く紡ぎ出されている。

 おや、思った以上にたくさんあった。さすが。次は少し「ウン?」と感じた部分。

 斜めに見すぎでしょうか。次は同時に出されたもう一つの本の方を読んでみようと思います。

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 生きられた家
【書   名】生きられた家
【副   題】経験と象徴
【著   者】多木 浩二
【出 版 社】岩波現代文庫
【ページ数】264P
【出 版 日】2001年02月16日
【価   格】1000円+税
【書籍コード】ISBN4-00-600045-6 C0110 \1000E

 「家」はいかにして「家」であるか。それは人間が住み生きることによって、家は家となる。建築家は物体としての家をつくるが、それは人が住むことによって初めて生きた家となる。
 ある意味当たり前のことではあるが、このことを存在論・現象学・記号論を動員して、また様々な経験と言説を通じて明らかにしていく。

 さらに、近代技術による住宅と伝統的な住まいの作り方についても言う。

 また「2章 空間の織り目」では、「方丈記」の引用から、家の由来、発生を考える。

 さらに日本と西洋の住宅を比較しつつ、器である家と家具との関係を考察する。

 3章以降、内容は次第に哲学的になってきて、わかりにくくなる。

 最後の6章は「時間と記憶」である。

 確かに難しいけれど、またこの本を都市・建築関係と言っていいのか多少疑問もあるけれど、建築や住宅の成り立ち、本来的な人間にとっての意味を考える上で、非常に参考になる書であると思う。

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 まちづくりブック伊勢
【書   名】まちづくりブック伊勢
【編 著 著】まちづくりブック制作委員会
【出 版 社】学芸出版社
【ページ数】95P
【出 版 日】2000年 2月10日
【価   格】1700円+税
【書籍コード】ISBN4-7615-1164-8 C0052 \1700E

 市民参加のまちづくりの実現に向けて、中高校生も含めた一般向けのガイドブックが相次いで出版された。まずは伊勢市の都市計画マスタープランづくりを契機に取り組み発行された「まちづくりブック伊勢」から。
 第1章 まちのみかた
 第2章 まちのしくみ
 第3章 まちのなりたち
 第4章 まちづくり物語
 第5章 これからのまちを描く
の5章からなり、歴史と伝統のある伊勢のまちを具体に取り上げ、わかりやすい構成になっている。
 特に第1章の、「1.注連縄にみるまちの文化」や「3.まちの縁側『世古』」は、伊勢独特の文化やまちの形状を取り上げており興味深い。また第3章で取り上げられる「6.遷宮とまちづくり」や「7.市民と遷宮」も、20年毎の遷宮がまちの形成に果たしてきた役割や思想を描き、伊勢ならではの状況が興味深く伺える。
 第4章では、内宮おはらい町の景観によるまちづくりを進めてきた藤波さん、伊勢河崎のまちづくりをリードしてきた西山さん、市長も務め戦前戦後にかけて数度の博覧会を開催した北岡善之助氏の3氏が取り上げられ、それぞれインタビューと紹介がされている。
 非常にわかりやすく興味深くつくられており、一般の方にも是非読んでいただきたい好著である。
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 まちづくりがわかる本
【書   名】まちづくりがわかる本
【副   題】浦安のまちを読む
【編 著 著】浦安まちブックをつくる会
【出 版 社】彰国社
【ページ数】126P
【出 版 日】1999年11月10日
【価   格】1905円+税
【書籍コード】ISBN4-395-00602-7 C0052 \1905E

 市民向けまちづくりブックの第2段はこれ「まちづくりがわかる本」。副題にあるとおり、こちらも千葉県浦安市をベースに、「まちの成り立ち」から始まり、「まちの計画」、「まちの仕組み・要素」、「まちと人とのかかわり」、まちの災害への備え」といった構成になっている。浦安も漁師町として発展した過去を持ちつつ、東京近郊の荒廃地としての役割に応えるべく、埋め立ての推進によるベッドタウン化、工業団地造成、そしてディズニーランドとホテル地区と様々な地区が混在し、街づくりの素材とするにふさわしいまちの成り立ちと機能を有している。伊勢に比べ、埋め立ての推進など、より計画的なまちづくりが進められたことが特徴か。これに呼応した形で、計画的なまちづくりや積極的に市民が関わっていくことなどが強調されている。伊勢と比較して読み比べるとなかなか面白い。内容的には中高校生向けで、やや難しい感もあるが、こうした本が一般の人の目に触れて欲しいと切に願いたい。
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 共に住むかたち
【シリーズ】
土曜建築学校 4
【書   名】
共に住むかたち
【著   者】小谷部育子・岩村和夫・卯月盛夫・延藤安弘・中林由行
【出 版 社】建築資料研究社
【ページ数】240P
【出 版 日】1997年11月25日
【価   格】2600円+税
【書籍コード】ISBN4-87460-527-3 C3052 \2600E

 OM研究所が開催した土曜建築学校の講義録をまとめたもの。「共に住むかたち」というテーマで気鋭の筆者が講義をしており、大変わかりやすく読むことができる。しかしけっして浅くない。むしろこの本で初めて勉強させてもらったこともいくつか書かれており、なかなかすごい内容である。

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 スーパーおやじの痛快まちづくり
【書   名】
スーパーおやじの痛快まちづくり
【著   者】安井 潤一郎
【出 版 社】講談社
【ページ数】2290P
【出 版 日】1999年 8月26日
【価   格】1600円+税
【書籍コード】ISBN4-06-209808-3 C0095 \1600E (0)

 早稲田商店街の安井会長には、1999年の12月にそのユニークなまちづくりの様子をヒアリングに行きました。その際に伺った話がほとんどこの本には書かれています。商店街の夏枯れ対策から始まったという早稲田エコサマー・フェスティバルに始まる環境、福祉、防災等々の活動。そこには面白おかしく書かれているけれど、その実行力というのはやはり並ではない。あっという間に行政、大学、障害者グループ、マスコミ、日本各地の商店街、政治家につながっていくネットワークづくりの見事さ、そして乙武洋匡との出会い。第4章の「『スーパーおやじ』の波瀾万丈人生」では、精肉店・稲毛屋に生まれ、父親との相克と教えの中で培われた安井氏の行動と情熱の源と思われるエピソードが語られている。楽しく儲かること、それがまちづくりだ、という安井氏の言葉は、本当の意味で真実を突いていると思う。

 中心市街地すまい研究会 東京・横浜先進事例視察 早稲田商店街
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 マンションは大丈夫か
【書   名】
マンションは大丈夫か
【副   題】
住居として資産として
【著   者】小菊 豊久
【出 版 社】文春新書
【ページ数】230P
【出 版 日】2000年 8月
【価   格】690円+税
【書籍コード】ISBN4-16-660119-9 C0236 \690E

 大正時代からのマンションの歴史を振り返り、戦後の6次に渡るブームを分析しつつ、マンションの質・内容の変化について概観する。そしてマンションの物理的な寿命、経済的、社会的な寿命について、消費者の立場に立った分かりやすく丁寧な解説があり、さらに管理費や修繕計画、また区分所有法にまで考察が及ぶ。これからマンションを購入しよう、又は既に入居し管理上の問題を抱えている人など、一般向けの非常に丁寧な入門書である。いや、マンションの歴史の部分については、分譲マンションを不動産として研究対象としてきた筆者ならではの記述もあり、私も勉強になった部分が少なくない。

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