都市・建築・読書メモ 2002
           書 リ ス ト  2002         


 「明日の田園都市」への誘い
 日本人の住まい
 コモンズとしての地域空間
 美しい都市をつくる権利
 人にやさしい住宅読本
 石の街並みと地域デザイン
 大型店とドイツのまちづくり
 日本型都市計画とはなにか
 コンパクトシティ
 コウハウジング
 ユニバーサルデザイン解体新書
 変わる商店街
 都市再生の法と経済学
 石山修武 考える、動く、建築が変わる
 タンポポ・ハウスのできるまで
 新・集合住宅の時代
 近代化遺産を歩く
 見た 聞いた 考えた
 お姉ちゃんと同じ学校に通いたい!
 プラハを歩く
 民家に学ぶ家づくり

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 「明日の田園都市」への誘い  (2002/12/28)
【書   名】「明日の田園都市」への誘い
【副   題】ハワードの構想に発したその歴史と未来
【著   者】東 秀紀、風見 正三、橘 裕子、村上 暁信
【出 版 社】彰国社
【ページ数】247P
【出 版 日】2001年10月30日
【価   格】2500円+税
【書籍コード】ISBN4-395-00594-2 C3052 \2500E

 今年、イギリスへ旅行し、レッチワースを訪ねてきた。ハワードが構想した世界最初の田園都市だ。本書は全7章で構成されている。第1章が「田園都市の背景」。第2章が「エベネザー・ハワードの生涯」。
 一介の速記者にすぎないハワードが、生まれ育ったロンドンの荒廃、進歩的思想家や著作との出会いの中で、社会改革に関心を深めていく。そしてアメリカの社会主義者エドワード・ベラミーの書いた『顧みれば』(1888)という小説に巡り会い、田園都市への着想を得る。それは社会改革のための現実的提案であった。そこに何人もの人が集まり、ハワードの構想は実現化への道を歩み出す。

 ハワードの構想を、レッチワースにおいて、新時代へのデザイン提案でもって実現させたのが、レイモンド・アンウィンだ。

 本書の核となるのが、第3章「明日の田園都市」。ここで、ハワードが執筆した「明日の田園都市」の各章を概説している。全部で13章。

 そして「田園都市論」とは何か、その特徴が3つにまとめられる。

  1. 新都市建設を可能にする経済システム
  2. 協同的社会の実現
  3. 循環系を内包したハイテク都市としての都市−田園融合 (P115)

 すなわち、1が『明日の田園都市』がただの理想郷ではなく、経済的に実現可能な構想を示したということ。そして、2、3こそが、現代において、さらに注目を浴びる、ハワードの先見性を示している。このことは、第7章「田園都市の未来」で改めて筆が取られている。第4章から第6章までは、イギリス都市計画、諸外国、そして日本への波及と影響が述べられている。
 レッチワースは、100年に及ぶその歴史の中で、非営利な民間株式会社組織で維持管理していくという理想が、何度も座礁しかかり、その度に住民の粘り強い意志の力で持ちこたえてきた。そして1995年。「レッチワース田園都市財団法」が成立した。

 私たちが見たレッチワースはこうして現在につながる姿だったのだ。改めて感慨を感じる。

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 日本人の住まい  (2002/11/17)
【書   名】日本人の住まい
【著   者】E.S.モース
【訳   者】斉藤正二、藤本周一
【出 版 社】八坂書房
【ページ数】401P
【出 版 日】2000年 2月10日[新装版]
【価   格】2800円+税
【書籍コード】ISBN4-89694-448-8 C0039 \2800E

 モースと言えば大森貝塚の発見者、日本の考古学の開明者として、小中学生の教科書にもでてくる。しかし本来は頭足類を専門とする動物学者であり、日本にも最初は頭足類の採集を目的にやってきた。そして日本の動物学の基礎を築き、進化論思想を普及せしめた。ところで巻末の解説で、訳者の一人、斉藤氏は、この本を民俗学の第一級史料として読むことを勧める。日本の「都市・村落の外見」から始まって、家屋の構造、職人の道具、家屋の形態、畳や襖などの家屋内部の部品、台所や便所、押入といった小部屋の機能と形態、さらには道具、庭園、そして古代家屋、アイヌ・琉球等の家屋と、朝鮮・中国家屋との比較まで、微に入り細に入り描かれている。その多くはモース自身による図版が入れられ非常にわかりやすいし、アメリカや欧米との比較も全く公正で、見たままありのままが描き出されている。もちろんこうした姿勢自体が民俗学的なのだろうが、現代の建築を学んできた私達にとっても、改めて日本の住宅の見方について目が開かれるし、過ぎ去った過去の技術がここまで収録され、かつ賞賛されているのを読むと感慨深く、また考えさせられるものがある。

 私も知らないことがたくさん書かれている・・・。

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 コモンズとしての地域空間  (2002/ 9/30)
【書   名】コモンズとしての地域空間
【副   題】共用の住まいづくりをめざして
【著   者】平竹 耕三
【出 版 社】コモンズ
【ページ数】222P
【出 版 日】2002年 4月10日
【価   格】2500円+税
【書籍コード】ISBN4-906640-51-6 C3036 \2500E

 豊かさが実感できない日本社会の土地問題を解決する糸口として、共用空間「コモンズ」を提案する。
 第1章は「日本社会のゆがみと土地問題」と題して、土地問題をいくつか指摘した後、土地の所有から利用への転換と脱市場化を提案する。基本的に理解はできるものの、現実的には容易ではないだろう。

 土地相続に伴い建物が壊されたり細分化する傾向を否定的に捉える視点もある。「望ましい」と「資産格差」との相克。西欧ではどうなのだろうか。もっとも筆者の論点は、だから法人所有・地域共有という方向に向かうのだが・・・。

 確かにコモンズは、土地の脱市場化への方向性を持っていると考えるが、それだけで脱市場化が図られると考えるのはあまりに楽天的過ぎる。というかありえない。地域通貨と並ぶ小さな運動として捉えるべきか。

 さてこの後、各章で、各地の共有土地における実態の紹介と分析が行われる。第2章では「武家屋敷長屋の地域所有」と題して三重県松阪市の御城番長屋が、第3章では「都心部における土地の地域所有」と題して京都市祇園の事例が、第4章では「現代の長屋づくり」として、京都市洛西のコーポラティブ住宅「ユーコート」が取り上げられる。
 松阪の御城番長屋は、私も先日行ってきたばかりで興味深く読ませてもらった。松阪では御城番長屋に起居する士族が明治維新に伴い、資産の払下げを受け、「苗秀社」を結成し、自らの住まいと土地を協同所有する。1882年の結成で、実に120年間、今もその形態が続いている。もちろん紆余曲折はあった。

 わずか結成20年後の出来事である。しかし土地に対する協同所有の形態はその後も現在まで存続するのである。

 まさにここにこそ地域(法人)所有の意義が伺われる。

 これには多分に偶然の結果という部分もあるが、・・・かつての入会地を住宅地に適用するというのがコモンズの思想と理解していいのだろうか。だとすると、封建的運営・保守的管理に陥る危険性も無視できない。現代にマッチしたスマートな所有・運営形態が考えられてしかるべきかもしれない。

 続く、京都市祇園町南側の地区には、同じく明治の初め1872年に、地域の区長や戸長など18名により、芸妓や舞妓の教育を目的に、「婦女職工引立会社」が設立され、2年後に女紅場と改称される。そしてこの「財団法人京都八坂女紅場」が、専修学校と病院の経営をするとともに、地域一体の土地を所有し賃貸をしている。財団法人であり、地域の御茶屋経営者等で構成される理事・評議員がこの所有地の管理をしているが、低家賃である他、祇園という地の町並みと雰囲気を守るため、「町並保存に関する趣意書」をまとめ、増改築時や借地権譲渡時の地主(財団法人)の承諾を義務付けている。その結果、京都市による「町並み景観の整備に関する調査」の結果を引いて、以下のように評価している。

 ところで、P146〜147で提案されている「歌舞練場を日本舞踊だけでなく(世界の)伝統芸能のメッカにして・・・」というのはあまりに陳腐すぎると言わざるを得ない。

 続く第4章は、コーポラティブ住宅「ユーコート」の検証である。ユーコートについては延藤先生を始め様々に紹介されているので敢えて重複して説明をしないが、次の記述が興味を引いた。

 その他の記述はいずれも正当に評価され、特に1戸が不動産業者の手に渡った顛末についても紹介されているのは、情報としてもうれしいが、筆者の主張は次のところに表れる。

 日本においては、コーポラティブ住宅は自由設計方式の共同住宅として根付いているが、本来、組合所有であるはず、という視点を固持している点は高く評価できる。まさにそれでこそ、コモンズといえる。そしてコモンズが日本の土地問題を解決する、とまで言うのは言い過ぎにしても、より良い地域管理の仕組みとして、高い評価が与えられるべきことは疑い得ない。かつ、松阪や京都の事例が示すように、うまく仕組みとしてスタートしてやれば、継続しうるということも覚えていていいだろう。

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 美しい都市をつくる権利  (2002/8/ 3)
【書   名】美しい都市をつくる権利
【著   者】五十嵐 敬喜
【出 版 社】学芸出版社
【ページ数】239P
【出 版 日】2002年 3月15日
【価   格】2000円+税
【書籍コード】ISBN4-7615-2281-X C0052 \2000E

 「美しい都市をつくる権利」というタイトルを見たとき、真鶴の「美の条例」に関わった筆者が「美しい都市」というキーワードで、近年のまちづくりの潮流を、法学的な立場から論ずる本かと思っていた。しかしのっけからこの予測は裏切られる。筆者は、憲法改正論として「日本国民は誰でも美しい都市に住む権利を持つ」と憲法に明記されるべきだと訴える。それもかなり本気で・・・。

 当たり前だろう。私もそう思った。そして、論はアレグザンダーの「名付け得ぬ質」の解説から入る。「美」を定義しようというのだ。

 そして、長い長い第2章では、「コナ」「鞆の浦」「コロンバス」「新治村」「エディンバラ」「国立市」を「美」の視点から検証していく。

 そうして最後に「東京都国立市・合法性と正当性の対立」で、法律が美しい都市づくりに果たしてきた、若しくは果たせないでいる現状が検証される。五十嵐曰く、

 という問い掛けがされ、第3章であり本論である「美しい都市をつくる権利」論が展開される。まずは法に関わる私見が披露される。

 法律論が次第に権利論へと移っていく。それにしても確かに指摘されて改めて日本憲法を読むと、日本人にとって基本的人権は、憲法により「保障される」ものであることがわかる。すなわちお上から与えられているのである。そして筆者はそれを創造型の権利に転換すべきだと訴える。

 さらに世界の憲法における基本的人権と義務に関する記述が紹介される。

 そして実に、インドの憲法にはこう書き込まれているのである。

 最後は次の一文で締めくくられる。

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 人にやさしい住宅読本  (2002/7/19)
【書   名】人にやさしい住宅読本
【副   題】 人にやさしい建築ディテール集 Vol.2
みんなで支える生き生きライフ
困ったときの快適住まいのアイデア玉手箱
【著   者】(社)日本建築家協会東海支部愛知地域会 人にやさしい建築ディテール集 Vol.2 編集特別委員会 + 五十嵐 真澄
【出   版】(社)日本建築家協会東海支部愛知地域会
【発刊販売協力】名古屋CDフォーラム事務局
【ページ数】158P
【出 版 日】2002年 3月31日
【価   格】1300円+税
【書籍コード】ISBN4-931454-37-2 C0077 \1300E

 副題がたくさんあって却って本の内容がわかりにくいかもしれません。それはこの本の誕生までの経緯の複雑さや関わった者の多様さ、そして内容の豊富さを示しています。そして私も編集委員の一人として内容検討に関わらせてもらいました。
 そもそも「人にやさしい建築ディテール集 Vol.2」とあるように、その前には「Vol.1」があります。これは建築家向けにバリアフリーデザインの建築ディテールを解説した本でした。今回はその第2集としてスタートしながら、内容は大きく変わり、読者対象もケアマネジャーや高齢者を抱える家族、また高齢者自身など、建築の専門家以外の方にわかりやすく読みやすいものにしようと、内容の検討や表現を工夫しました。
 本の内容のベースは、(社)日本建築家協会東海支部愛知地域会の人にやさしいまちづくり研究会のメンバーが関わり開設されている、なごや福祉用具プラザでの住宅改修相談での事例や経験です。多くの事例を通じて感じた高齢者の住宅改修に関する様々な問題点や経験を、なんとか相談に来られず一人で悩んでいる高齢者やその家族の方にわかりやすく伝えたい、という気持ちから、多くの事例や経験を振り返り、それを自らホームホルパーでもあるライターの五十嵐さんに伝え、11のドキュメントになりました。このメンバーに、なごや福祉用具プラザと愛知県住宅企画課の担当者、愛知工業大学の先生と学生が関わり、多方面から内容の検討と充実を図りました。
 最終的に、ドキュメントに加え、「住宅『困りごと』なんでもランキング」「YES NO フローチャートで問題解決」といった楽しい特集や、「浴室は危険がいっぱい」「上手なケアマネジャーの選び方」といったトピックス、、「『棟梁とベティばあちゃん』の快適リフォーム6つのポイント(ドキュメントから)」、「建築家によるわかりやすい場所・部分別イラストつき解説」、そして住まいの相談窓口や福祉機器等を紹介する「情報ひろば」まで、実に情報満載の内容になりました。それを、森さつきさんのほのぼのとしたイラストがさらにやさしく見やすく紙面を彩り、手に取って楽しくわかりやすく、そしてドキュメントでは少しほろっとする、そんな本です。
 ぜひ読んでいただければナと思います。書店にない場合は、下記までお問い合わせください。

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 石の街並みと地域デザイン  (2002/7/15)
【書   名】石の街並みと地域デザイン
【副   題】地域資源の再発見
【著   者】三宅 正弘
【出 版 社】学芸出版社
【ページ数】174P
【出 版 日】2001年11月30日
【価   格】2000円+税
【書籍コード】ISBN4-7615-2274-7 C0052 \2000E

 足助町に通うようになって、石垣が目に付くようになった。山間の町、足助には平地はほとんどなく、田畑を作るにしろ、住宅を造るにしろ、まずは擁壁を造って平場を整えることから始めなければならない。そしてその多くは石積でできている。町に石積擁壁が目立つのと同じほど、石材店も多い。この地域は花崗岩の産地なのだ。隣接する藤岡町の名前の付いた藤岡御影。豊田市の挙母御影。岡崎市の大川御影、花沢御影などの産地があり、岡崎の石工団地はこの地域では有名だ。石の質は名前のとおり花崗岩(御影石)。
 この本の著者である三宅氏は、芦屋で生まれ育ち、現在徳島大学の助手を務める。石という素材を地域デザインの観点から考察し本書を著した。
 まずは「1章 石の国・日本」で、日本に産する石の産地とその代表的な街並みが語られる。火山岩、御影石(花崗岩)、青石(変成岩)、凝灰岩、砂岩。そしてそれらの地場の石を使って形成されるランドスケープ。

 5月に木曽三川公園に家族で遊びに行った。道端の民家に積まれた石垣は小さな丸い石でできていた。角張って大きい足助の石垣とのあまりの違いに驚いた。

 2章は「石の街並みの形成」として、農村集落、ニュータウン、お屋敷街、マンション街が取り上げられる。

 しかし実際には、間知石ブロックなどのコンクリート製品に置き換わられつつあるのが実態だ。さびしいことに。3章では「石が織りなす都市文化」と題して、阪神間六甲山麓、京都、東京のそれぞれの石の景観が記述されている。特に阪神間については、筆者が育ち研究対象としてきた地域であり、地場石材の使用状況調査など詳しい。

 最後に、「4章 石の地域デザインの可能性」として、「石垣バンク」が提唱されている。

 筆者自身が芦屋でアドバイスを行いつくられた公園の事例が記述されている。確かに足助でも工事現場に多くの石が出てくる。これを活用すること。簡単なようで意外に難しいテーマでもある。なにより、施工者に、地域に、石が実は貴重な地域資源であるという認識がないのが痛い。

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 大型店とドイツのまちづくり  (2002/6/29)
【書   名】大型店とドイツのまちづくり
【副   題】中心市街地活性化と広域調整
【著   者】阿部 成治
【出 版 社】学芸出版社
【ページ数】255P
【出 版 日】2001年12月10日
【価   格】2700円+税
【書籍コード】ISBN4-7615-2275-5 C0052 \2700E

 ドイツのまちづくりというと、Fプラン、Bプランを代名詞に都市計画の優等生のように思われているが、長年ドイツの都市計画を研究してきた阿部先生によれば、けっして全ての地域でBプランが策定されているわけではなく、郊外への大型商業店舗の進出など、日本と同様の問題が起きていると言う。本書は、ドイツ中部の大都市圏ルール地方と南部の地方都市ウルムにおける大型商業店舗進出に伴う地域の自治体、議会、州政府、商業者団体、政党等々の丁々発止の商業調整の様子を詳細に描いている。研究的な筆致ながら、そこに描かれている内容は、まるでドキュメンタリーのようで大変興味深く、ドイツの生きたまちづくりを実感させてくれる。
 6章に渡って(1章はFプラン、Bプランから始まって、建築利用令や州管区政府による広域調整、ドイツの自治体議会など、ドイツにおける大型商業店舗を中心とした規制の枠組みが説明されている)各地域でのドラマが描かれた後、最後に数ページ添えられた「あとがき」でこれらの動きを総括して次のようにまとめている。

 以上で言い尽くされた感があるが、読み進める中で興味を引いた記述は次のような部分である。

 そして最後は以下の記述で締めくくられている。

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 日本型都市計画とはなにか  (2002/6/18)
【書   名】日本型都市計画とはなにか
【著   者】西山 康雄
【出 版 社】学芸出版社
【ページ数】223P
【出 版 日】2002年 3月15日
【価   格】2300円+税
【書籍コード】ISBN4-7615-2282-8 C0052 \2300E

 著者の「アンウィンの住宅地計画を読む」は、レッチワースを始めとした現存する田園都市をよく研究するとともに、啓蒙家ハワードのみならず、その思想を現実のものとした都市計画家アンウィンを始めとする人々をも詳細に描き、イギリスの田園都市についてよく理解ができる好著だった。この「日本型都市計画とはなにか」は、こうしたイギリス田園都市の研究をベースに、日本における田園都市のとらえ方やこの発展系としての日本のニュータウンの研究、また日本の区画整理を東南アジア諸国へ技術移転するという仕事に関わった中で形成された、比較都市計画の理論について考察する。
 単に田園都市を、欧米都市計画を美化し追いかけるのではなく、その時々、その国々の社会的・文化的・経済的状況に応じて、都市計画という技術は使い分けられなければならないし、その技術間に優劣はない、ということが強く訴えられている。そして今、日本において、イギリスで田園都市が構想された成熟社会を迎えようとしている。今こそこの時代に適合した、日本の社会や文化・経済に適合した、新たな田園都市論が求められていると言えよう。

 特に後ろ2つのパラグラフは、足助で定住促進に関わっている者からすると、非常に興味深い。日本においてもイギリスの同様な価値観は果たして形成されるのだろうか。
 そして、P111からの「第8章 日本型ニュー・タウン像を求めて」で調査対象となっている高蔵寺ニュータウンに住む者として、内容についてはよくわかると同時に、書中に挿入された写真の撮影場所まで分かってしまうのは、やや面映ゆい想いがしないでもない。

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 コンパクトシティ  (2002/5/30)
【書   名】コンパクトシティ
【副   題】持続可能な社会の都市像を求めて
【著   者】海道 清信
【出 版 社】学芸出版社
【ページ数】287P
【出 版 日】2001年 8月30日
【価   格】3200円+税
【書籍コード】ISBN4-7615-3095-2 C0052 \3200E

 この本の著者である海道先生は、岐阜県可児市にある名城大学都市情報学部にみえることもあり、たびたびお会いし、また先日はこの本をベースに「コンパクトシティ」に関する話を伺った。それまでコンパクトシティを単純に公共投資の効率化をめざす高密度な都市と理解し、都市計画制度が脆弱で都市が拡散的に構成されていく日本においては、理想論に過ぎないという認識でいた。しかし、サステイナブルな都市像という視点で捉えれば、一転、魅力と現実性を持った都市像に転換する。本書では、序章で、都市像としてのコンパクトシティの意味を確認した上で、EU圏におけるその理念と政策をレビューし、続いてイギリスの政府の政策、自治体の政策、ドイツ・オランダの政策、アメリカの状況、さらにはコンパクトシティに関する様々な議論と視点が紹介され、最後に日本型コンパクトシティに向けた10の原則と3つのモデルが示される。全体的には今までの論文や現状の政策等の紹介が中心で、著者独自の提案には乏しいと言わざるを得ない。ただし、これは海道先生自身も講演をされたときに話されていたことであり、この4月からイギリスへ留学し、さらに研究を重ねられているはずなので、今後の成果を期待したい。しかし都市像といったテーマは現実の政策と離れては議論できないし、かといって現実は理論どおりに進まないのが普通であって、特に日本において政策転換を安易に期待するのは難しいのが現実である。魅力ある都市づくりと現実の政策の狭間、そして欧米との違いを感じずにはいられなくなる著作でもある。

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 コウハウジング  (2002/5/10)
【書   名】コウハウジング
【副   題】欲しかったこんな暮らし!子育て、安心、支え合う仲間たち・・・アメリカの新しい住まいづくり
【著   者】コウハウジング研究会、チャールズ・デュレ、キャサリン・マッカマン
【出 版 社】風土社
【ページ数】195P
【出 版 日】2000年 9月25日
【価   格】1800円+税
【書籍コード】ISBN4-938894-38-6 C3052 \1800E

 コウハウジングとは、いわゆるコレクティブハウジングの北米版の住まいづくりのこと。デンマークのコレクティブハウジングを研究しアメリカに持ち帰ってコウハウジング社を設立、実践しているチャールズ・デュレ、キャサリン・マッカマンによる同名の著書の翻訳と、これに触発され、北米コウハウジング会議に参加し研究を重ねてきた成果が綴られています。建築や住まい方の専門家にして主婦業をこなしてきた、コウハウジング研究会のメンバーである露木洋子さん、山本典子さん、堀田佐都子さんの3人の、コウハウジングの実物に触れてきた感動と日本でも普及させたいという熱意が行間に滲み出て、説得力のある1冊となっています。
 第1章は「コウハウジングへようこそ」と題して、デンマークの事例を通じてコウハウジングの紹介。第2章でアメリカの事例の紹介。第3章、第4章では、それぞれ参加とプランニングのノウハウと、デザイン面での配慮事項の説明。第5章で具体的に日本でつくる場合を想定した散文的なケーススタディが綴られ、最後に座談会で3人の熱意が語られます。

 アメリカのコウハウジングの事例では、「住人だけでつくったコウハウジング」「倉庫をリニューアル 都会の孤独を和らげる」「住む人も都市型のコウハウジング」「既存の建物を生かした都市型再開発」「自然発生型のコウハウジング」など、様々なタイプが取り上げられています。都市型再開発では

 また自然発生型のコウハウジングでは

 日本でも同様のものがつくりたい、という筆者たちの思いは必ず実現はすると思います。ただし、「オンリー・ワン」ではなく、あくまで「ワン・オブ・ゼム」として。本当は地域に根ざして生活すること自体がコウハウジングなんだと思います。

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 ユニバーサルデザイン解体新書  (2002/4/28)
【書   名】ユニバーサルデザイン解体新書
【著   者】北岡 敏信
【出 版 社】明石書店
【ページ数】192P
【出 版 日】2002年 3月20日
【価   格】1500円+税
【書籍コード】ISBN4-7503-1561-3 C0036 \1500E

 プロローグに書かれたユニバーサルデザインに対する考え方に興味を抱き本書を手にしたが、本編は日本全国のユニバーサルデザインの取り組み紹介が費やされている。それも1事例にさかれる紙数は少なく、表面を走るという感じなので、私としてはやや物足りなさが残った。逆に多くの事例を知りたいという人には良い資料になるのだろうか。しかし秋田県鷹栖町が取り上げられていなかったり、愛知県内も全く取り上げられないなど、多分、最近積極的にユニバーサルデザインに取り組み始めた市町村の事例が多いのだろうが、筆者の取材の範囲内にとどまり、仕方がないとはいえ、その点でもやや不満だ。

 ちなみに、群馬県六合村の事例(村立診療所の医師と村役場担当者が実現した「福祉リゾート構想」=「バーデ六合」)は興味深い。(P142〜)

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 変わる商店街  (2002/4/ 6)
【書   名】変わる商店街
【著   者】中沢 孝夫
【出 版 社】岩波新書
【ページ数】184P
【出 版 日】2001年 3月19日
【価   格】700円+税
【書籍コード】ISBN4-00-430719-8 C0234 \700E

 中心市街地の活性化は、現在の都市問題の主要な課題の一つである。数多くの中小企業や商店街を取材してきた筆者が、今元気な商店街の現状を紹介しつつ、商店街の活性化は"まちづくり"に取り組むことから始まるという持論を展開する。商業サイドからまちづくりが語られるとき、その多くは結局、商売の売り上げ向上をめざすことを指すことが多く、最初はそんな偏見を持ちながら読み始めたが、読み進めるうちに筆者の指摘が的を得ていることに同感の意を強くし、面白く読み進めることとなった。確かに筆者に言われるとおりだと思う。

 ここには大きく「NO!」と落書きがしてある。実際、家族のありようは、世の中の風潮や社会経済情勢に影響される部分も多いと思う。しかし家族の自覚を促すという点では意味ある指摘とも言える。

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 都市再生の法と経済学  (2002/3/26)
【書   名】都市再生の法と経済学
【著   者】福井 秀夫
【出 版 社】信山社出版
【ページ数】230P
【出 版 日】2001年 9月20日
【価   格】2900円+税
【書籍コード】ISBN4-7972-1866-5 C3332 \2900E

 著者の福井秀夫氏は、定期借家制度創設にあたり、近畿大の森本氏等の疑義に対抗して、八田氏等の経済学者と連携して、積極的に定期借地権創設論を述べていたことで有名である。私もその直前に氏の講演を聞いたことがあるが、ナタのように切れ味鋭い論法と威圧感に圧倒された記憶がある。あとがきを読むと、本書は京都大学工学博士学位請求論文に加筆修正したものとのこと。三村先生を始め、巽先生、東樋口先生等の建築系の諸先生に対する謝辞が述べられている点が興味深い。
 本編は、序章を含めて全7章で構成される。第2章では、第1節で都市住宅問題に対する視座(問題意識)が列記され、第2節で施策検討立案にあたっての7つの評価基準が示される。「社会経済的厚生評価基準」を始めいずれも難解な名前が付けられているがよく読むと意外に当たり前なことが書かれていることに気付く。列記すると以下のとおり。

(1) 社会経済的厚生評価規準(主規準)
個々の者の利得の総和は、・・・できるだけ大きくすることが適当である。(P27)
(2) 寄与分に応じた分配の公平評価規準(副規準)
土地・住宅をめぐる個人及び法人(関係者)は、その者の寄与分(努力)に応じた分配を受ける(ことが公平である)(P29)
(3) 社会福祉的観点からの分配の公平評価規準(副規準)
最低限度の生存がおびやかされる・・・者に対して(は)社会経済的な利得の総和の中から利得を再分配することが、・・・社会的公平(P31)
(4) 社会経済的厚生を増大させるための再分配評価規準(副規準)
(経済の)外部性(=外部経済と外部不経済)の内部化のため(の賦課金等の経済的手法による)・・・所得の再分配とは独立な政策原理(P34)
(5) 制度・システムの設計評価規準(副規準)
個別主体ごとの合理的な選択の結果が社会公共的にも合理的な結果となるように、・・・制度・システムを設計することが基本的に重要である。(P34)
(6) 場面適合的公的介入評価規準(副規準)
公的介入の対象分野とその内容・程度は個別の問題ごとに判断する(P39)
(7) 複数の目的には複数の手段評価規準(副規準)
複数の目的には複数の手段(P40)

 一方、日ごろ私も感じていたことを鋭く指摘する記述も多い。

 ところで、3章、4章では、「住宅市街地の実態と問題点」そしてそれを解決するための「住宅供給的視点の付加」が語られるが、法経済学出身者らしい、大胆にして楽天的な割切り、設定が目に付く。例えば、

 続く5章では、「権利調整費用の低減による共同建替え促進効果」の試算が行われるが、これは一言で言えば、「収用権を背景とする道路網整備事業の推進及び交換分合制度の導入」(P146)という新しい施策を導入した場合の効果を試算するというものである。その内容は、経済的な知見が駆使されており、私などの理解が及ぶところではないが、権利調整費用を調整作業費用と合意形成費用に区分し、「合意形成費用は、心理費用を含み、しかも事業の質的属性に依存して決定される部分も大きく、計測は困難である」(P120)として、25件の事例分析結果から「調整作業期間の1/4程度」としている。しかしこれらの事例は事業が成立した事例で、結局成立しなかった事例を含めれば、その費用は言われる以上に計測不可能ではないか。加えて、共同管理に伴う費用、またはそれが引き起こす心理的費用にも配慮する必要があると思われる。いずれせよ、東京大都市圏の非常に利便性の高い地区での試算である。
 さて、第6章ではお得意の「借地借家法制の住宅供給抑制効果」について論じている。

で代表される、全ての要因を借地借家法に求める論法の根拠は必ずしも明確に述べられているようには思われない。

 などと相変わらず厳しく森本氏を追求してるが、私には、森本氏は、「借地借家法の影響が他に比して圧倒的に大きい、というわけでもないのではないか」と言っているだけのことで、「影響がない」だから改正する必要もない、とまで主張しているようには思えないのだが、どうなのだろう。双方正しく思えてしまうのは私が優柔不断だからだろうか。福井氏の言うような借地借家法の改正も必要だろうが、それだけで日本の住宅問題が解決するとは到底考えられない、というのが常識的な考えのように思えてならないのだが。

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 石山修武 考える、動く、建築が変わる  (2002/3/16)
【書   名】石山修武 考える、動く、建築が変わる
【副   題】ひろしま、生活、家、コミュニケーション
【著   者】石山 修武+(インタビュアー)芹沢高志
【出 版 社】TOTO出版
【ページ数】221P
【出 版 日】1999年12月10日
【価   格】1429円+税
【書籍コード】ISBN4-88706-185-40 C3052 \1429E

 1999年から2000年にかけて、ギャラリー・間で開催された、石山修武展に合わせて行われたインタビュー形式の本。ひろしまハウス、まちづくり支援センター、「秋葉原」感覚、ライトインフラ、川合健二、開放系技術、フラー、早稲田バウハウススクール、世田谷村。そして松崎町と気仙沼など、石山修武の全てが語られている。
 石山修武は気になる建築家ではあるけれど、独特のパワーと気合に圧倒されそうで、今までどちらかといえば避けていた。今回、友人から本書を借りて読み、改めてそのパワーと肉感を実感した。現場や職人、つくる力に対する信奉など共感する部分も多いが、結局、やはりこれは石山ワールドであって、石山修武でなければ達成できない世界だと思う。きっと剥き身で会うと恐い人だろうな。でも触発される部分は多い。

 この本に触発されて、以下のようなことを考えた。おまけの考察。こんなことはとっくに誰かが言っていることだとは思いますが、・・・
おまけの考察デザインとスタイル

 建築の計画学は、西山卯三の住宅計画や柳沢忠さんの病院建築計画といった機能的な分析から組み立てられている分野と、安藤忠雄や石山修武らの実践派や建築哲学的論考から入る領域とあります。前者の研究も西山卯三のように客観的な論として凝縮しそれが運動につながっていくという展開なら意味があると思いますが、まかり間違うと住宅メーカーの間取りプラン研究になるだけでは何の意味もない。岐阜県の北方住宅をテーマにしたシンポジウムを聞きに行ったときに、詳細な住まい方調査を行っているグループがあって、それで何になるんだろう、と思った次第。住宅は、食べるところと寝るところ、排泄するところがあれば、事は足りる。それをどう配置したらいいかなんてのは、所詮、趣味と意味づけの問題であって、人間、住まいがあれば生きてはいける。いや、ホームレスを見れば、住まいがなくても機能があれば生きていく。
 石山修武は、その機能を作り出すのは、「開放的技術であればいい」という言い方をしているんですが、これってようするに自給自足。セルフビルドな能力を取り戻そうということ。
 機能をそこまで純粋化してしまうと、では建築計画とは、すなわちデザインとは何か、ということになります。そこで提示されるのがスタイル。「所詮、趣味と意味づけ」と言った時の、その「所詮」こそを俎上に乗せて分類・整理し、提示しようというのがスタイルの意味です。そう考えると、それは藤森さんのような建築史的意匠研究にもつながるもので、そこでようやく建築史の研究室が計画系の一分野にあるということがわかってきました。
 デザインをスタイルと割り切ることで、スタイルと人間の嗜好と関わりという次のテーマもあらわれてくる。そんなことを思いました。

・・・ここで言う「スタイル」とは、石山が言う「形式」や「かたち」といった意味ではなく、姿勢やコンセプトといった意味で用いています。
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 タンポポ・ハウスのできるまで  (2002/3/2)
【書   名】タンポポ・ハウスのできるまで
【著   者】藤森 照信
【出 版 社】朝日新聞社
【ページ数】339P
【出 版 日】1999年 7月 5日
【価   格】2400円+税
【書籍コード】ISBN4-02-257277-9 C0095 \2400E

 この本は誰が読むのだろう。相変わらず藤森節は絶好調で、絶妙な筆致で綴られていく。多分建築を目指す学生や専門家がこの本を手に取ることが多いだろう。その片割れの私が読んでも、設計が進んでいく過程過程にいちいち同化できる部分が表れる。一方でここまで自己中心的にこだわって建築行為ができることに羨ましく思う専門家も多いだろう。なかなかここまでこだわることはできない。例え自宅であっても。金銭的問題が解決したとしても。足場が取り払われ全体像が現れたとき、「あせった。こんなはずじゃなかったのに。」(P312)とつぶやく姿はおかしみを感じるとともにほっとするが、しかしそれでも造り上げこうして本にまでしてしまうのだから、やはりその精神力には感服するしかない。
 単なる建築家のこだわりの自宅づくりの物語だけではなくて、そこかしこに建築史家・藤森氏の建築論が語られ、その意味でも興味深い。建物すっぽり緑で覆うという試みをしながら、けっして環境共生とは言わない。そこにも藤森氏の建築観が表れる。もちろん建築の専門家でない一般の読者にこそ是非読んで欲しい本です。

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 新・集合住宅の時代  (2002/2/21)
【書   名】新・集合住宅の時代
【副   題】つくば方式マンションの衝撃
【著   者】小林 秀樹
【出 版 社】NHK出版
【ページ数】237P
【出 版 日】1997年11月25日
【価   格】1300円+税
【書籍コード】ISBN4-14-080345-2 C0052 \1300E

 つくば方式(建物譲渡特約付き定期借地権住宅)に関する一般向けのガイドブックと言っていいだろう。つくば方式マンションの第1号、第2号での実話を盛り込み、わかりやすく親しみやすい本となっている。しかも、つくば方式を解説するだけでなく、つくば方式から展望される、これからの成熟社会(産業化+高齢化)における都市のあり方を描き、その解決策としてのつくば方式のメリットと限界が述べられている。都市部の高地価の立地でこそ真価を発揮するつくば方式。しかし地価の安い地方部においても、根強い土地所有意向を利用に転換させる方策として注目度は高い。プラス、コーポラティブ方式の採用によりコミュニティ問題・マンション管理問題の解決へも道を開く。最近、つくば方式の普及具合はどうなのだろうか。地方部にいると一時ほどの熱は冷めつつあるように感じるのだが。しかし本書を読むと、改めてつくば方式の持つ可能性に目が開かれる思いがする。地方部での可能性はどうなのだろう。

 さらに31年目以降の定期借地権と組み合わせたのがつくば方式だ。それはさておき、「第10章 成熟社会の街づくりを考える」ではコンパクトシティに寄与するスケルトン賃貸という展望が描かれるが、合わせて次の記述が目を引いた。

 日本全てがコンパクトシティ・都市になるわけではない。農山村部等で描かれる暮らしは、自信を持って、同居型・自然環境共生型であっていいのだと言いたい。

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 近代化遺産を歩く  (2002/2/19)
【書   名】近代化遺産を歩く
【著   者】増田 彰久
【出 版 社】中公新書
【ページ数】222P
【出 版 日】2001年 9月25日
【価   格】980円+税
【書籍コード】ISBN4-12-101604-1 C1226 \980E

 文化財登録制度ができて以来、近代化産業遺産に対する関心が高まっている。近代建築物の写真を数多く撮っている著者による、日本の近代化遺産の写真と随筆集である。愛知県はトヨタ自動車を代表する日本有数の産業県の一つであり、日本六古窯のうちの二つである瀬戸と常滑を擁するほか、毛織物や綿織物の産業集積も高い。産業記念館やノリタケの森など、近年こうした近代化遺産を公開した事例も出ていることから、この本でももっと多くの遺産が紹介されているかと期待したが、残念ながら、稲葉地配水塔(名古屋市演劇練習場アクテノン)、中川運河松重閘門、桶狭間ラジオ放送所送信塔と依佐見送信塔(ともに現存せず)、東山動植物園温室しか載っていないのは少し残念。しかし後ろ3つはかなりマニアックだ。外国の産業化遺産として一つだけ、イギリスのキューガーデン・バーム・ハウスが載っているが、近代化遺産を求めて世界に視野を向けるのも面白そうだ。

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 見た 聞いた 考えた  (2002/2/14
【書   名】30周年記念出版「見た 聞いた考えた」
【副   題】地域づくりの事例とヒント
【筆   者】社団法人 地域問題研究所
【発 行 所】社団法人 地域問題研究所 出版部
【ページ数】143P
【出 版 日】2000年10月
【価   格】非売品

 名古屋のシンクタンク、(社)地域問題研究所が一昨年30周年を迎えたことを記念して発行した冊子。読みかけで放ってあったものの続きを読みました。所員11名が分担して、中部圏を中心に全国各地の地域づくりの様子が書かれています。取り上げた地域は以下の28地区。私も知らなかった事例も多く、一度は行きたいと思う地区もいくつかありました。今後のまち遊びの参考とさせてもらいます。

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 お姉ちゃんと同じ学校に通いたい!  (2002/2/9)
【書   名】お姉ちゃんと同じ学校に通いたい!
【副   題】ハンディをもつ子と親のためのガイドブック
【筆   者】 人にやさしい街づくりアドバイザーグループ
(五十嵐真澄・鬼頭弘子・星野茂子+星野広美)
【問い合わせ】人にやさしい街づくり・情報ターミナル
【ページ数】158P
【出 版 日】1998年10月14日
【価   格】1,000円

 タイトルのとおり、都市・建築関係ではなく福祉関係の本ですが、愛知県建設部が実施している「人にやさしい街づくり連続講座」がきっかけとなって完成した本ですので、ここで紹介します。星野広美さんは私の職場の先輩。五十嵐さんとは今一緒に、新しい本づくりに取り組んでいます。今度は、高齢者の住宅リフォームに関するドキュメントとノウハウに関する本。日本建築家協会東海支部愛知部会で現在編集作業中ですのでご期待ください。
 さて、本書は、「ハンディをもつ子のお父さん、お母さん」へのヒアリング・ストーリーが6編に、保健婦さん、児童福祉センター、理学療法士、保母さん等へのインタヴュー、そして「ハンディをもつ子たちのためのいろいろな資料」として、教育委員会への取材結果や法律、図書、施設紹介等で構成されています。内容的には徹底的に障害児を持った親向けのガイドブックですが、建築サイドの施策の結果としてこんな本が完成したという点が面白いと思いませんか。ドキュメントの言葉には心を打たれます。

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 プラハを歩く  (2002/2/1)
【書   名】プラハを歩く
【筆   者】田中 充子
【出 版 社】岩波新書
【ページ数】232P
【出 版 日】2001年11月20日
【価   格】740円+税
【書籍コード】ISBN4-00-430757-0 C0226 \740E

 筆者によれば、チェコの首都・プラハは、ロマネスクからゴシック、ルネサンス、バロック、そしてアール・ヌーヴォーから現代建築に至るまで、様々な年代の建築物が並ぶ建築博物館の街だと言う。西洋建築史を専門とする田中氏が魅せられたプラハの街と建築の探訪記録。

 そしてプラハにはその全てが残されている。プラハの人は前時代の建物を壊すということを知らなかった。

 そして本のタイトルそのまま、プラハ城、旧市街、城下町、新市街、そして郊外と、プラハの街を歩きながら、特徴的な建物(教会、宮殿、市庁舎、大学、劇場、住宅、ホテル)や構造物(橋、墓地、公園)を取り上げ、その特殊性を語りつつ、プラハの歴史を語る。
 「はじめに」のサブタイトルは「人間が建築をつくる」。「むすび」のタイトルは「建築が人間をつくる」。建築を語りつつ、プラハの人々を語り(併せて、周辺諸国や時に日本を語る)、歴史に降り積もった人間の思いに心を馳せる。

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 民家に学ぶ家づくり  (2002/1/13)
【書   名】民家に学ぶ家づくり
【筆   者】吉田 桂二
【出 版 社】平凡社新書
【ページ数】201P
【出 版 日】2001年 6月20日
【価   格】700円+税
【書籍コード】ISBN4-582-85094-4 C0252 \700E

 民家建築の第一人者、吉田桂二の書く民家と住宅論。第1章は「民家に見る造りと暮らしの智恵」というタイトルで、住宅の部位別にその構造や造りを開設するとともに、各地の民家の様式を自らのイラストで紹介する。この部分は建築の知識を再確認するといった内容だが、第2章以降は、終戦後から現在の住宅の姿になってしまった経緯を振り返りつつ、これからの住まいのあり方を「家に風土性を取り戻す」という言葉で、民家を学び継承する住まいづくりを提唱する。特に第2章の「敗戦と『新時代』住宅」で語られる敗戦前後の時代描写には吉田氏自身の心情が表れており、興味深い。

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